「マニアには最高の内容」I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE 238238さんの映画レビュー(感想・評価)
マニアには最高の内容
わかる人にはわかる、わからない人にはわからない。
でも映画ってそういう側面必ずありますよね。
40年来のファンで単行本も過去の映画もアニメもミュージカルも網羅している人間には最高に近い出来です。
そういった意味でも字幕版を観られて本当にラッキーでした。
日本語の吹き替えでは印象が変わったかも。
原作作者の実の息子がプロデュースということで父への愛と尊敬を感じずにはいられず
そういった背景と作者がなくなって10年以上経ってもこのような興行がみられることに
ファンとしては始終涙が止まりませんでした。
逆にマニアックな内容ですので基本知識がなければないほど、ただの子供アニメにみえたことでしょう。
これをどう切り分けるかは難しいところですが、スヌーピーの描写を通して単純に可愛いという、いつもの演出も豊富でした。
ところどころでコミックのオリジナルを映すのも気に入りました。
最近のウインタースポーツの高度テクニックなど、その他、新聞漫画である故の現代社会の風刺も多くありこれも納得。
しかし、この部分が、一般もしくはライトなファンには最も理解できなかった部分でしょう。
往年のファンへのサービスとして、ビルメレンデスの声やMs.オスマーの声がそのままリマスタリングされていること
しっかり要所要所でガラルディの音楽を使用していたことなど、もう涙ものでした。
(これがサザエさん状態だったら最悪だったことでしょう)
もうこの世に存在しない人たちの遺産に感謝と尊敬をこめて使用しているのです!
また、過去の映画と同じ画面でファイナルというのも泣かせます。
本当に髄の髄まで知り尽くしているコアなマニアにはこれ以上ない至福の時間が流れます。
少年ケニアの付け合せにされた時代とは全くちがいます。
作者のシュルツら故人へ向けたオマージュが本当に素晴らしく
現在の映像技術でよみがえった夢のような作品です。
ただ、一般観客受けの考慮が足りないので赤字興行なのは間違いないでしょうか。
また、マニアからは突っ込まれることを覚悟の上での違和感設定もありました。
原作ではピッグペンに興味を持つ唯一の女子としてペパミントパティが設定されたのですが
パティ違いでそこが変更されていてビックリ!
パティはバイオレットやフリーダと一緒に批判しかしなかったはずです。
汚れなんか気にしないわ!だなんて言うはずもありません。
素直にペパミントパティとくっつけてくれたら違和感なかったのに。
あと、そのPPとマーシー、フランクリンが主人公たちと同じ学校にいるのは愛嬌。
しかし、ほんの5分ほど一時転校のエピソードを入れてくれればこれも違和感を減らせたのに。
メスイヌ役の名前が過去のアニメを踏襲していること、赤毛の子の外見もペギージーンを
ほぼそのまま使っていることは好感がもてました。
とにかく細部に、一秒毎に、物凄い配慮がなされていて
そのことが実現できたことに感涙しっぱなしでした。
吹き替え版、3D版を見ていないことと上記の違和感から星4にしました。
あと字幕版に絢香いらない、、、(絢香ファンの方すみません)
ディズニーの影響で各国の歌手を起用したのでしょうか。
もうアメリカの新聞漫画でアメリカの文化を体現した作品なのですから
日本語いらないんですよ。
だったらアメリカ行って観てこいって?
それはごもっともなご意見です。
ただ、心も身体も貧しくなった(貧しいから肥満になるのです)いまのアメリカ人が
この作品の良さを気づけるかどうか怪しいところです。
もうシュルツの生きたアメリカではない。