「つくり方は、人それぞれ。」熊野から 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
つくり方は、人それぞれ。
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舞台挨拶で、ドキュメンタリ7割、フィクション3割くらいと主役が言っていた。実際、現実とファンタジの割合はそんな感じではあった。
だけど、あの話の流れは、熊野に行ったことがある僕でさえランダムにしか思えず、ましてや行ったことのない人間には尚更つながらない。各神社の紹介かエピソードもほとんどない。だから、補陀落渡海についてもどこまで観客に伝わっているのか、花の窟で手を当てている岩はなにか、あれで神倉神社の逸話がわかるのか、こっちがいろいろと心配になってくる。「呼ばれるところだ」という台詞とかに、熊野が死者に会える国だという雰囲気はあったけど、いかんせんぼやけている。だったら、新宮で大逆事件なんかに触れるよりも、「蛇性の婬」の世界を取り入れたほうが、ファンタジ色がでたと思うが。(それを狙っていないなら話は別だけど)
だいたい、なんでカポエラ(?)がでてくるのか、BGMにバロック調のクラシックを流すのかよくわからない。「松虫」の話を持ち出すのなら、音楽はもっと日本的なもの(雅楽とか)にすればよかったんじゃないか。
写真でなく映像でこそ捉えることのできる「熊野」らしさを期待していた僕には、消化不良のもの。
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