「「時間は途切れない」」6才のボクが、大人になるまで。 Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
「時間は途切れない」
12年を何度かに区切って行われた撮影
どんな風に役者が育つのか・
歳をとるのかわからなかったのに
12年後、皆それぞれの役に合った容貌に
なっています
子供にとっての12年間、
大人にとっての12年間って
重さが違う
監督の娘だという、主人公メイソンの姉
サマンサ(役)の子が、
こまっしゃくれたまま成長していて、
好ましかった
俳優たちのセリフや演技がとても自然でリアル
監督が書いたという脚本が素晴らしい
12年間、ブレていない
まるでどこかの家庭の日常のドキュメンタリーを
観ているような気分になります
なんでもイベントにしてしまう所とか
いろいろアメリカンな所が面白い
どうしようもない大人たちの、ダメさ加減が
いっそ清々しい
ダメ男ばかり掴んでしまう、メイソンの母
こういう人っていますよね・・・
その中で、イーサン・ホーク演じるメイソンの
元父親が、如何にもアメリカンなオトナらしい、
大袈裟な滑稽味を帯びた痛々しさで、
親らしく振舞おうとしていて
浮いているけど浮きすぎていない微妙な匙加減の
演技が良かった
メイソンが鬱屈した家庭への憂さ晴らしで
悪友たちとマリファナを吸う所、煙草でも
吸うような気軽さが、
アメリカのハイティーンらしい
今風美人の彼女とメイソンの距離感が
いい感じに離れている
結局予想通り別れたけれど・・・
(寝て、別れとする女の思考は分かる気がする
男は「これで目的達成」と思う、
女は「これで最後」と思う
ダメになるパターンのひとつ)
高校生のメイソンが、彼女とドライブした
時の会話
「人類を皆ロボット化して、世界征服」は、
幼稚な発想で、6歳の子供時代の影があって
面白いと思いました
(だから振られたんだな精神的にオトナの彼女に、
とも思った)
メイソンがアート・フォトグラファーを目指す
展開は12年の撮影中変わったかもしれない脚本の
後付けかと思ったけれど、
ラストのセリフで、最初から脚本をほぼ
変えていないようだと思い、
その一徹さに心を打たれました・・・
そしてラスト、
次の彼女になりそうな(そして結婚までいきそうな)
メイソンと一緒にいて、とてもしっくりくる
素朴な魅力の女性は
タップダンスを教えているという
その理由が
「流行っていないから」
というのがいいな、と思った
よくあるこういう展開だと、カップルに
なりそうなふたりが目線を外さないで会話する
事が多いけれど、会話しながらそっぽ向いたり
視線が交錯したり、同じような方向向いていたり
とても自然・・・で、徐々に距離感が近く
なっている感じ
だからきっと、このふたりは今後も
うまくいくだろうと思えた
この女性のセリフ
「どうしてみんな"一瞬を逃すな"って言うの?
私はなぜだか逆に考えちゃう、
一瞬は私たちを逃さない」
メイソン「分かるよ、時間は途切れない。
一瞬というのは・・・常に今ある時間のことだ」
この映画の作りそのものがまさにそうだし、
人生ってものもまさにそう
しみじみ、いい映画でした