「美しいAV、それ以上でもそれ以下でもない」フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
美しいAV、それ以上でもそれ以下でもない
若くして巨額の富を得た超イケメン社長とウブで美しい英文学専攻の女子大学生が恋に落ちるが、彼には "quite singular" な性的嗜好があって、要するに調教することでしか快楽を得られない筋金入りのドSで、しかも「恋愛はしない、契約だけだ」と言い出し、それでも彼女はその性癖とシステムを受け入れようと必死に足掻くけれど結局無理でした、はいサヨナラ、っていうお話。
二人ともスタンスがブレブレで、結局何がしたかったの?という印象が残った。
クリスチャンは「契約」というシステムに執拗に拘る一方で、エレベーターの中で「契約がなんだ!」と突然キスしだすし。
アナはクリスチャンの過去を聞いたあとに自分から「私をどうしたいのかやってみて」とけしかけておきながら、結局一発で受け止め切れないとわかって傷付いて去っていくし。
マッチポンプというか身勝手というか?
最近、自己犠牲の上に成り立つ純愛物の映画やドラマを観ているから余計に感情移入できなかった。
タイトルの「フィフティ・シェイズ」についてセリフがあったけれど、あれもどういう意味かわからなかった。
五十重人格ってこと?なんで五十?
調教する人格と普通に恋愛する人格の二つというならわかるけれど、だとすると残りの48はどこへ?謎。
セックスシーンは確かに美しかった。
とにかく二人の顔と体のラインがすこぶる美しいし、声も表情も仕草もシチュエーションも官能的だった。
でもそれだけ。
異様にクオリティの高い洋物AV。以上。
アメリカでベストセラーになった小説が原作で、日本でも話題になっているということで、二人の行き場のない痛ましい愛が最終的にどんなエンディングを迎えるのかと観ていたけれど、あの終わり方はないわ。
なんだかな。残念。