野火のレビュー・感想・評価
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戦争の悲惨さは判るけど…。
オブラートで包まなくても良い所で包み、包んだ方が良い所は包まずという感じか?
微妙な感じだった…。
生きて良かったという感じが欲しかった気もするが、後悔しか残らなかったのだろうか?
20代までの若い方々に
つい先ほど観たのですが…打ちのめされました。
原作は若い頃読んでいたにもかかわらず、です。
血、肉、蛆、飢えと渇き…圧倒的な映像でした。
いま、茫然としながら帰っています。
戦後70年経ち、語り部がいなくなってしまう今、
若い方達に観て頂きたいです。
ご年配の方、本当に多かったですが、
心理的に大丈夫かな…と思いました。
没入感に臓腑をやられる怪作
世界から見捨てられ、自らも世界をただ傍観しているような主人公のせいで、観ているこちらの現実感までが脅かされていくような映画だった。終盤になるにつれて妄想や現実の線引きが曖昧になって、しまいにはどうでもよくなってしまう。
あらゆる悲惨にドラマはなく、ただなしくずし的に、あるいは唐突にそれらは起こり、人の肉体や精神は壊れ腐り崩れていく。けれども、彼らを取り囲む自然は泰然として鮮やかに美しく、彼我のコントラストは残酷で滑稽だ。
幕が下りても、腐臭漂う密林に引きずり込まれたような疲労感は簡単に去ってくれない。いまどきのキレイでウェルメイドな戦争映画ではまったくない。個人的にはステレオタイプな反戦ドラマにも戦争メロドラマにもさしたる興味はないけれど、これは観ておいてよかった。
これでもマイルドなんだろうな…
死んだ爺さんには銃創の窪みがあって、一言も戦争について話すことは無かったなぁ…と思い出した一本。
赴任地は、全く同じ地区。
「戦友会」としての付き合いで、30年くらい前に再訪して。
やっぱりそこでの思い出を聞いても、答えてくれなかったなぁ…
爺ちゃん子で、なんだかんだでド無口な爺様(今、不惑間際でクソ似てるのよなぁ)と一緒に、説明もなく岐阜まで戦友に会いに行くのに付き合ったり…
(そこで会ったおじいちゃんに、いい子のご褒美で生まれて初めての「ジャンプ」を買って貰ったのよ、黒岩よしひろ氏のヴァリオンって漫画が始まった号だった)
その人も聞いても戦場のことを話してくれなかったのだけれども。
逆にやたらと話をしてくれた方は…議員さんとかになってたな…
映画とは関係無い話をしたけれど。
四十手前にそこまで想起させる作品の力を受け取った。
物語的には、筋は?と言う意見も出るだろうけれど。
「戦争は絶対いけない」とか簡単に言うけれど。
当時は国、今だったら核家族の信念を護るために闘った(善悪は別次元でね)貧乏国家ニッポンの男たちの姿を。
例え現実はもっと過酷だったとしても、伝えてくれる作品。
もしも自分だったら
ずっとそう思いながら見ていた
もしも自分だったら、主人公の田村一等兵ほど長い間正気を保っていられただろうかと
同じ状況には絶対なりたくないと強烈に思わせる、という意味では最も効果的な反戦映画かもしれない
映画としては、音楽の使い方やグロテスクシーンの感じがカルトホラーやホラーゲームのようにも感じた
しかし、単純なグロさの強調ではなく、極限状態の中で精神を病んだ兵士が実際に感じた光景としてこのくらいの強烈さが必要だったのだろうと思った
現実はきっとこれよりもっと酷かったのではないかと思うと、見終わった後に気分の悪さだけでなく、やりきれなさが残った
極限状態
派手なドンパチじゃないけれど、これも戦争の一片。人間のグロさと残酷さが重くのし掛かってくる。戦場の狂った環境の中で正しい選択ができるのか。映像としても生々しい肉片、血飛沫、死体の描写が多く観るには覚悟が必要。
ビルマの竪琴と合わせて観たい感じ。
戦争は人を獣にさせる
『アメリカン・スナイパー』で思い知らされた、「戦争は人の心を蝕む」。
ならこの『野火』は、もっと酷い「戦争は人を獣にさせる」という事か。
兎にも角にも、全編通して、恐ろしすぎて怖すぎる。こんなの、どんなに怖いホラー映画より恐ろしいと思う。
人が人を食う、という事実。しかも敵じゃなく味方を。考えただけでゾッとする。
戦争は、人を凶器に変える。安保法案賛成で保守派の私でも、観た後に色々考えさせられる一本だ。
それにしても塚本カントクが1人6役ってすげーわ。
あと、元BJCの中村達也がいつの間にか俳優やってるっつーのも驚きじゃわ。
期待通り、予想通り
美しい自然と壮絶な肉片は、文に劣らないくらいの衝撃度です。
感じる嫌悪感が凄まじく、反戦というものを超越し、戦争への憎しみしか感じ得ません。
グロいです。美しいのにグロいからたちが悪い。原作を尊重した結果で見事なくらいです。ただスプラッターです。
大日本帝国だからこんな愚考を犯したとは思いません。戦争だから人がケモノになったんだと感じられます。そして例外なく戦争を否定したくなります。
美しいのはそこにある事物だけ…そこに介入していく行為全てが醜悪なんでしょう。
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何...
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何度かあったところが嫌だ。
原作を読んでないから色々言えないけど固まった物語の展開を作ってないから途中分からなかったセリフの少なさかなぁ。
戦争の映画だから、そういう風にしたんだと思うけど。
あとPG12じゃちょい厳しいやろ。
傷の疼きが教えてくれる
第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。美しい、美しい自然の下の凄惨な生き地獄。ひたすらに飢え、何が正気でどこから狂気なのかわからなくなる…。
観ていて眼をそらすことは許されないように思いました、とにかく、それが大事だと思いました。
緊張を強いられる恐ろしい世界ですが、主人公・田村一等兵はじめキャラクターに魅力があり、引きずり込まれます。
リリー・フランキー、森優作、凄かったです。中村達也演じる伍長さんは、独特のカリスマ性があって印象的でした。
先行上映会には、塚本晋也監督が登壇されました。
「重く苦しいものが残るけれど、良いトラウマもあるのです」と穏やかに語る言葉が印象深かったです。
理屈はなんとなく正しいみたいに思えても、傷の疼きが絶対ダメだと教えてくれるはず。新しい傷をつけてやるという気概が作品から伝わりました。
2015.7.12. 福山駅前シネマモード
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