「もうクレイアニメとはいえないが。。。」映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Kiwiさんの映画レビュー(感想・評価)
もうクレイアニメとはいえないが。。。
aardman新作、ひつじのショーン バックトゥザホーム、行きかがり上、問答無用で拝見しました。(奥さんが観たいということで)
ま、アードマン作品嫌いじゃないのでいいかなっと。
個人的には初期のアードマン作品、特にウォレスとグルミット チーズホリデーとかに思い入れが強くて、正直、クレイアニメというよりCGI作品という風合いが強くて、初めのうち、まったく作品にのめり込めずに辟易していました。
クレイアニメじゃない、というのはアードマンさんも強く意識してらっしゃるようで、クレイアニメ的な部分、例えば人の手の表情なんかは意味もなく準長回しで強調してみせられたり、昔からのファンを裏切らない配慮がかえって神経逆撫でしてきて良いとこ無しの映画でした。
ただしストーリーは違いました。アードマン作品でこれまで脚本はどちらかというとおざなりという印象があったのですが、今回のひつじのショーンはひと味違います。違いすぎて、というか、複雑すぎて台詞無しでは表現し切れていない部分がどうしても目立ってしまいます。
その台詞無しのシーンの連続の中、一点、ベタですが忘れられないシークエンスが出てきます。一匹の野良犬のシークエンスです。
未見の方の楽しみを削ぎたくないのでこれ以上書きませんが、、ショーンに申し訳ないけど今回はこの子が主役だと思いました。ショーン達を助け、ひっそりと消えていったこの子に、エンディングでたくさんのこどもの観客たちがゲラゲラ笑う中、おじさんは嗚咽を止めるのにとても苦労してしまいました。
アードマンは、ローテクなクレイアニメが評判となり今日に至っています。が、CGIとかVFXとか、ハイテクな映像表現が全盛の中で、独自のクレイアニメ表現がどうあるべきか迷っている印象を感じます。
が、この野良犬のシークエンスこそ、CGI時代にクレイアニメのエッセンスをどう表現していくべきかのメルクマールであるように感じました。
アードマンさんにはクレイアニメのエッセンスをこれからも追求して我々観客を楽しませていただくことを期待したいと思いました。