劇場公開日 2015年7月4日

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「毎日毎日同じ朝も、また違った朝に見える」映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0毎日毎日同じ朝も、また違った朝に見える

2015年12月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

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『ウォレスとグルミット』で知られるアードマン・アニメーションズによる新作クレイ・アニメ。
主人公、羊のショーンは『ウォレスとグルミット』にも登場したらしいが、正直あんまり覚えてない…。
それでも、これはこれで、一本のアニメ映画として楽しめる作りになっている。

毎日同じ牧場生活に飽き飽きしたショーンらは、ご主人様をトレーラーの中に眠らせて自由を満喫。ところが、トレーラーが暴走して、さあ大変! ご主人様を追って、大都会へ…!

まずユニークなのが、全編台詞ナシでの展開。
NHKで放送されてるTVシリーズも台詞ナシらしいけど、こちらは約一時間半の(TVシリーズよりずっと)長丁場。
台詞ナシで大丈夫?…なんて心配は見てたら皆無に。
むしろ、それが魅力。

どちらかと言うとポーカーフェイスのキャラたちが織り成す、リアクション豊かな珍騒動。
チャップリンはたまたミスター・ビーンを彷彿させ、同時期公開の『ミニオンズ』もある意味台詞ナシ、台詞応酬コメディより、感じるユーモアは万国共通。
手書きアニメやCGアニメとは違う、アードマン・アニメーションズによるクレイ・アニメの、毎度毎度見事な手腕は言うことナシ!

ストーリーも分かり易くていい。
ご主人様を捜せ!
ショーンらの文字通りの“擬人化”。
手術医に変装した牧羊犬ビッツァーなんて…ププッ(笑)
一方、ご主人様も。
何やら記憶喪失になっちゃって、牧場での腕を活かした仕事で思わぬサクセス…!?
この両者が擦れ違ったりリンクする構成も巧み。

こういう動物を主人公にしたなら、悪役は必須。
動物収容センターの捕獲員がしつこくて、危機危機のハラハラ。
ショーンたちは無事ご主人様と再会出来るのか…?
ご主人様の記憶は戻るのか…?
スリルとドタバタの中に、捕獲された動物たちのドラマをおまけし、ショーンらとご主人様の絆をそつなく描いてほっこり。
毎日毎日同じ朝も、ある経験をすれば、格別の朝に見える。

最後に…
全編通してクスクス、ニヤニヤの笑いだけど、つい吹き出してしまったのが、動物収容センターでの真向かいの檻の微動だにせずメッチャ睨んでくる犬。
アカン、思い出しただけで…(≧∇≦)
エンドクレジットで微動だにしないオチが!

近大