劇場公開日 2015年7月4日

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「「やっぱりお家がいちばん」」映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「やっぱりお家がいちばん」

2015年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

盆休み&帰省の間に書き切れてないレビューをガンガン
上げようと思いきや、墓参りやら友人・親戚巡りやらで
ほとんどゆっくりできず、それどころか映画の1本すら
観られずという有り様。
実家は最寄りの映画館まで車で2時間くらい掛かるので、
映画館で映画が観られる事のありがたみを改めて感じた次第。

という訳で?今更ながら、お盆前に観ていた本作のレビュー。
この映画については『ウォレスとグルミット』のアードマン
スタジオ最新作……くらいの知識しか無かったのだけど、
お気に入りのレビュアーさん等を含めて
好意的なレビューが多かったので鑑賞。
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まずはやっぱり、クレイアニメの手造り感って良いっすね。
CGも一部使っているのかもだけれども、フルCGアニメにはない
この素朴な温かみ。なんだか観ているだけでホッとする。

全編に散りばめられたユーモアもバッチリだ。
思わず口元が緩んでしまうような無邪気で楽しい笑いが、
端から端までギッシリ詰まってる。
どのネタもクセや毒っ気は強くなく、子どもも安心して
観られる点がグッド。じゃあ大人にはタイクツな出来?
というと全然そんな事はなく、大人の鑑賞にも耐えられる
キレがある笑い。この見事なバランス感覚!
しかもそれを全編セリフ無しでやってのけるのだからスゴい。

好きだったのは、刑務所みたいな収容施設のシーン。
“シシシシシッ!”と口を啜るレクター博士っぽい猫とか
マッチョ過ぎるプードル(骨ダンベル(笑))とか
威圧感たっぷりにこちらを睨みまくる犬(?)とか
小ネタが利いてて楽しかった。
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そして何より、
ひょこひょこと動くキャラクターたちの魅力的なこと!
主人公ショーン率いる羊たちの息のあった掛け合いが
楽しい楽しい。レストランでのドタバタ(メニューが
前菜(笑))などにはクスクスし通し。
暴走するトレーラーの中でのんきに寝ぼけてたり、
ローテーション催眠術でアッサリ眠ってしまうご主人も可愛い。
007も真っ青の完全武装動物ハンター・トランパーさんも、
悪役だけどちょっとヌけてる所がなんだか憎めなかった。
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全編楽しくて笑えるけれど、心を動かす部分もしっかりあって、
ご主人を探す牧羊犬くんの必死な姿や、
いざご主人を探し出した後の展開にウルウル。
ご主人が最後にショーンたちを思い出す方法も優しいし、
みんなを手助けするブサカワなワンちゃんの最後も優しい。
よかったね、君にも帰る場所が出来て。

平凡で単調な毎日に慣れると忘れてしまいがちだけど、
平凡で単調という事くらいに平和な事は無いし、
帰る場所がある、帰りを待ってくれてる人がいる、
それって本当に幸せな事だと思う。
ジュディ・ガーランドの昔々の言葉を借りれば、
「やっぱりお家がいちばん(There's no place like home)」。
盆休みとかで実家に帰る度に感じるが、
故郷みたいな場所って、やっぱこの世のどこにも無い。

という訳で、メイメイ故郷は大事にせにゃあかんですよ。
羊なだけに。(←座布団没収)

<2015.07.26鑑賞>

浮遊きびなご