「来る日の朝のため、ホテルで過ごす人々の不器用で愛おしい一夜」さよなら歌舞伎町 かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
来る日の朝のため、ホテルで過ごす人々の不器用で愛おしい一夜
ラブホテルを舞台に、カップルの今を抜け出すための長い長い1日。濃密な一晩を、時系列と共に進むことで、135分があっという間だった。
歌舞伎町のはしくれに佇むラブホテル。そこで働く徹が、彼女でミュージシャン志望の沙耶に持ちかけられたメジャーデビューの話題にジェラシーを燃やすところから始まる。出てくるカップルは皆、後ろめたいことと前を向くための希望を抱いており、そこに悪たる感情は存在しない。そのための長い一夜が、時系列とともに描かれる。だから、徹の小さなフラストレーションも、各カップルが抱く問題も、時間の経過と共に蓄積されていき、ストーリーに拍車を描けていく。決して大きな感動が来るわけではないが、人の優しさに触れたときの温もりは、肌が触れずとも伝わってくる。分からずじまいでさよならする人もいるが。笑
胸を張って言えるための過程なら、見栄も張りたくなるのが人の定め。人生模様を見ているようで自分が一番見えていないのが人ってものなのだろう。
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