「絵で語る。考え抜かれた演出」くちびるに歌を うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
絵で語る。考え抜かれた演出
全く期待せずに、流し見していたのですが、やられました。
少ないセリフで、キャラクターの家族背景、生活、心理状態まで分かってしまう緻密な画面構成に驚きを隠せません。
こんな演出ができる監督がいたのか…と、一気に画面に惹きつけられました。
後半に畳み掛けるドラマの要素があくまでも自然で、涙腺が緩みっぱなしでした。
主演の新垣結衣さんには酷ですが、ちょっと役に負けてた感があります。影のある演技は似合わないかな。心を閉ざしてしまった元一流ピアニスト役ですが、無表情すぎて、いつも平板な印象しか受けませんでした。それでも、彼女のキャリアのなかで、最高の演技を披露してくれたと思いました。
中学生の子供たちの演技が素晴らしかった。
力が抜けていて、まるで本当にそこで生活しているかのような存在感がありました。
3つの家族を軸に、この物語は展開していきますが、それぞれの事情が絡み合って最後まで目が離せません。脚本も練りこまれていて、方言も違和感ありませんでした。
欲を言えば、もう少しドラマの時間を削って、音楽のウェイトを増やして欲しかった。特に、新垣結衣のピアノは、猛特訓をして、あと2、3回出番を増やして欲しかった。そうすれば、記念碑的な名作になっていただろうに。
ちょっと、意地悪な感想ですが、大好きな一本になりました。感動をありがとう。
2016.4.18
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