「なかなか素晴らしい物語です。」くちびるに歌を れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか素晴らしい物語です。
いい物語だが、なぜか感動が最高潮にまでならなかった部分はある。
しかし、ところどころで心動かされ、涙がホロリときた。なぜ、最高潮にいかないかというとたぶん、新垣結衣が映画全体的にずっと、むっつりしていたからなのかなあ。
笑顔を終盤だけでもね。もっと生徒に厳しい顔だけじゃない顔を見せてくれたら泣けたかなあ。まあそういう役柄と話なんでしょうが。新垣結衣は婚約者を事故で失い、ピアノが引けなくなった。(終盤わかる)友人の誘いで高校教師の非常勤に。
私的に何があったにせよ、テキトーにやります発言にはじまり、あの序盤から中盤までの冷たさ、無表情さは、なんなんだろな。まだ中学生相手に可哀想すぎ。痛みを知って逆に優しくならないだろうかと思ってしまう。
しかし内面的には、新垣結衣は感じとっていて、障害者の兄をもつ男子生徒や、父親に捨てられ両親のいない女子生徒など、生徒のひたむきさに心動かされ、終盤に心の氷がとける、ピアノがついにひける。汽笛の音はドの音。新垣結衣がドから引き始め、屋上で女子生徒がその音を聞いて少し救われる場面は感動的だった。
障害者の兄を持つ男子生徒が素朴で本当にいい雰囲気を出していた。優しい。生きる意味を兄と寄り添うこと、生まれてこれたのは、兄のおかげと悟っている。偉すぎる。でも、そんなわけない。
両親がいない女子生徒にも、直接ことばでは何も語らない。しかし父親がひどい。明日一緒に教会に行こうと笑顔で娘に接した翌日に金をとって逃げる。2度、娘を捨てた。
心が溶けた終盤に行動で新垣結衣は生徒達に応えていく。無駄なシーンもなく、だらけることなく、最後までひきつけられた、良くできたストーリーだったと思う。
若さとは、本当に清々しく爽やかで、心洗われる。田舎の素朴な生徒たちだからこそ、感じられるのか、その一生懸命さ、真っ直ぐさ、ひたむきさ、純粋さが良かったなあ。温かいな。
最後に初めて舟上で生徒達の見送りを見て、新垣結衣がしっかりとした笑顔を見せた。僕はそこで涙が溢れました。生徒が優しい。
前後するが、障害者の兄にだけ歌を聞かせるコンクールのあとの場面も良かった。両親もあたたかったな。
父親をコンクールの後に、いないか探しでいる女子生徒。居て欲しかったなあ。