「唯一無二の男。」ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
唯一無二の男。
私にとって一番耳に残るJBはやはりあの「ゲロッパ!」だけど、
(正しくはGET ON UP)正に彼の人生そのものだったなぁと思う。
極貧生活で父に殴られ、母に捨てられ、窃盗で捕まった刑務所で
生涯無二の親友となるバンドマンと出逢う、映画みたいな人生。
彼には歌とダンスの才能が元々あっただろうが、偶然の命運が
彼に味方しなければ、こんな発展は絶対に望めない状況だった。
子供の頃からJBの歌はよく流れていたけど(顔が怖くって^^;)
ファンにはなれなかった、でもファンキーなシャウトを聴く度に
すげぇ、やっぱり黒人って歌上手いよなー!なんて思っていた。
日本でも人気の高かったJBは前述の映画タイトル^^;にもなり、
未だにエンターテイナーとして羨望の的であり続けているのだが、
まぁその半生といい行動といいハンパなく破壊的。奇行やDVも
よくニュースになっていた。そういった彼の人生を余すことなく
しっかり描いているところが今作の素晴らしさ。もちろん音楽は
(オリジナル音源多用)知っての通りだけど、あの人生でこの歌
ありきとあらゆる点でなるほど~なるほど~と思わざるを得ない。
時系列を前後した冒頭のライフル発射とパトカーチェイスなんて、
どこの犯罪者なんだよ、お前!と言いたくなるし、公民権運動の
最中で黒人が差別から這い上がる為のシンボルの一片がJBにも
注がれていたところが大きく、当時の時代背景の描き方も詳細だ。
彼は黒人社会を虜にしたけれど、彼自身は愛に苦しみ周囲の人間
を巻き込んでは傷付けていた。成功しても満たされない胸の内を
繊細にパワフルに(まるでコピーしたかのように)C・ボーズマンが
体現している。歌こそ吹替えなんだけど、彼にソックリである。
J・ロビンソンの時といい偉人を演じるのに縁があるのだろうか。
ラスト、親友ボビーとのエピソードに泣かされる。
(D・エイクロイドとの共演に懐かしさ倍増。人気者だったもんね)