「ラッセ・ハルストレム監督はなぜ家を燃やすのか?」マダム・マロリーと魔法のスパイス さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
ラッセ・ハルストレム監督はなぜ家を燃やすのか?
200年の伝統のフランス料理に、インドのスパイスが加わって新たな味ができあがるように、保守的な田舎町にインド人一家が加わって変わっていく人達を描くヒューマンドラマです。ラッセ・ハルストレム監督作品では、シッピング・ニュース以降、一番好きかも知れません。パリにはあまり興味がありませんが、こんな田舎町には一度行ってみたいです。(南フランス)街並みが、すごく素敵です。
劇中に登場する「Food is memory」という言葉に共感しました。
祖母が作っていたピーナッツがたっぷりかかったハンコンパン(ちょっと字が分かりません。台湾のおこわ)や、母が作る五目寿司や煮物の味は、口にすると子供の頃の記憶が蘇ります。きっと観た方は、お袋の味を思い出すことでしょう。
ポスターと邦題を観て、ヘレン・ミレンが主役のような印象を受けますが、全くの脇役です。また原題は100フィートの旅ですが、道路を挟んで対立するフランス料理店と、インド料理店の距離を表しています。
登場人物の中でヘレン・ミレンが一番有名だから、こんな売り方になってるのでしょうが。広報のミスリードが、映画の評価を不当に下げることが多々あるので、本当にどうかして貰いたいです。
だって、主人公のインド人青年ハッサン(マニシュ・ダヤル)は、ものすごく魅力的なんですよ。とても好感が持てる、可愛いイケメンなんです。でも少年っぽい可愛さが、パリに行ってワイルドに変わるところなんか、確かな演技力もあります。ハッサンのパパ役は、インド映画界の重鎮:オム・プリです!取り敢えずな有名人で、映画好きを馬鹿にしないで欲しいです。
なんか愚痴っぽくなってしまいました。すみません。
前半はインド人一家の苦難が描かれますので、ちょっと悲しくなります。でもハッサン一家は負けない。ユーモアと、柔軟な心と、料理への真摯な態度で、周りを変えていきます。この人格破綻者の私が、中盤からずっとにこにこしっぱなしでした。
食は偉なり。丁寧に、じっくりと、料理を作りたくなります。そして私の作る味が、誰かの思い出になるって素敵です。
今晩は、何を作ろうかなー?
PS 今回も家が燃えてましたが、どうしてラッセ・ハルストレム監督は家を燃やすのでしょうか?