きみはいい子のレビュー・感想・評価
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ふたりの母親
前作の『そこのみにて光輝く』で心を鷲掴みにされたので、期待して鑑賞しました。
前作でも田舎の町でのどうにもならない閉鎖的な中でもがく感じにやられましたが
今回は親(大人)と子どもとのつながりや人への愛について考えさせられました。
子どもを感情的に怒り叩いてしまうシーンは、小さい頃からしつけとして親によく叩かれていた自分に重なるものがあり辛かったです。私は反面教師という言葉を知った事、夫が冷静に見てアドバイスをしてくれたおかげで池脇千鶴さんの様な気持ちで子育てできる様になったけれど、子どもが必死に頭をかばうところ、泣きながら謝るシーンで色々思い出しました。叩いた手って罪悪感もあってしばらく痛いんだよね…とか
池脇千鶴さんが尾野真千子さんを抱きしめるシーン、色々な意見がある様ですが
過去の虐待を乗り越えて子育てをしている彼女だからできたのだと私は思いました。
池脇千鶴と高橋和也は夫婦なのかな?そんなつながりも見たかったけれど、全てに答えを出してしまうと余韻が残らないかな?
上映されている映画館が少ないのですが、こんなこの映画をもっとたくさんの方に鑑賞していただきたいです。
みんないい子
演技力の素晴らしさに助けられてる
尾野真千子さんによって子供に与えられる恐怖や怒りに触れ、素晴らしい演技をする方だと感服しました。
本作は3つのストーリーから成り立ち、それぞれにメインとなる人物が存在し、それらを順に追っていくというもの。それらは交錯するものもあれば独立しているものもあり…と、構成には少し疑問もあり。
テーマは共通して『人からされたことを他人にもしてしまう』という、感情(愛情や憎悪)の連鎖でしょうか。これそのものについてはとても共感します。
ただ、内容を通して率直な感想を述べるとしたら、説教臭いかなあと。
それぞれのストーリーに導師のような人物が分かりやすく現れ、メインパーソンを教え諭すそのセリフが、異物感を生んでいるのでしょうか。
そんなの分かってるよ、でもどうしようも出来ないんだよっていう親娘の複雑さはとりだたされずに、導師の言葉(作者のメッセージでしょうが…)を受け人々がコロコロと好転していく。
そんなに簡単なものに、極端に描いてしまうのならば、ストーリーの柱を1本削るでもしてもっと綿密に描いても良かったのではないのかなと思ってしまいました。
ただ、冒頭でも触れましたが役者さんの演技が素晴らしいです。
アベンジャーズよ、これが邦画だ!
「きみはいい子」見ました。
面白かった。邦画ならではのテンションと言うか、そーゆー物が高次元で見れただけで感動。現代が抱える問題に鋭く切り込んだみたいな宣伝を見たけど、別に鋭く切り込んでるワケじゃないですよ。鋭くないからダメとかじゃなくて、これで良いんです。だって僕の心には鋭く刺さりましたので。
月並みな評価だが、とにかく役者が素晴らしいですね。「悼む人」を見た時は微妙だと感じた高良健吾さんは、あの草食系の雰囲気が新米教師にぴったりだったし、尾野真千子さんも良かった。尾野真千子はコメディにもシリアスにも振れる素晴らしい役者さんだと改めて感じました。あとはヒマワリ学級の高橋和也さん。あんな風にTシャツ+ジャージの先生は大体どこの学校にもいると思うけど、まさしくみんなあのテンションですよね。明るくてポジティブな教師を、嫌味なく演じていて心地よかったです。喜多道枝さんも池脇千鶴さんも、高良クラスのガキどもも良かったです。小学校の先生って大変ですね。
話としては、高良健吾擁する小学校問題と、尾野真千子擁する虐待問題。これを同時に語るにはテーマが違いすぎやしねーかと感じました。それは主役2人が抱える葛藤を比べれば明白であり、事実各々の場面に切り替わるごとに違う映画に見えて仕方なかった。せめて最後は無理矢理にでも一つに纏めて欲しかったと思いました...。
あとは最後ですけど、池脇千鶴が尾野真千子をいきなり抱きしめるのは、少しやりすぎな演出な気がしました。やりすぎと言うか、そーゆー話じゃないでしょう?って思ってしまいましたね。尾野真千子自身が幼少時に虐待を受けてたからナデナデってやってる場合かよ。小悪党にはしっかりとした制裁を。
一方の高良健吾視点のラスト。最近の邦画はあーゆー見せ切らないラストが本当に多いけど、どうなんです?言わば、5時になって高良健吾のテンションが上がってスタートを切りました。で、あの生徒の家に着いた所がテンションMAXじゃないワケですよ。しかも見てて、え、この家誰も居なくない?って空気感じましたし。せめて、玄関が少し開いた所で終わるとかじゃないと、何にもその先をイメージ出来ません。全編良かっただけに、ラストは少し残念(少しね)。
あとあれです、高良健吾さんの彼女の言い分が心底不愉快でした。「私は何ヶ月も準備し続けたプレゼンで悩んでんの!あんたの言ったのは何?小学生のオシッコが何とかって?」的なヤツです。こんな偉そうで不愉快な女なんて、他の男に取られて結構だ!
総じて、限りなく傑作に近い良作です。
アベンジャーズやMAD MAXも素晴らしい快作だけど、そんな世界的超絶大作にも決して引けを取らない素晴らしく楽しめる作品だと思います。
等身大で地に足が着いた素晴らしい作品
『そこのみにて光輝く』の呉美保監督の作品ですね。
新米教師の岡野、虐待ママの雅美、認知症気味老人のあきこ、この3本のストーリーが平行に語られる本作。
どのパートにも共通しているのが、子供(たち)と、その周りの大人(たち)との関わりである。
昔から子育ての悩みはあったろうし、子供(人を)を育てるということは大変(偉大)なことだと思う。
今の若者たちが現在の日本で子育てをしていくのはたいへん厳しいのが現実なのではないだろうか?
そんな若い人たちにも是非観てもらいたい作品です。
私も以前は子育てに悩む父親として、本を読んでみたり、それこそ映画の中に答えを探してみたり、暗中模索したものです。
そんな中で自分なりに出した答えみたいなものがあって、それが本作には全て入っている気がして、本作が放つテーマやメッセージに共感するところがとても多い作品でした。
本作の中で雅美ママ(尾野真千子)がママ友(池脇千鶴)から「一度も子供の頭を撫でないんだねぇ」と言われるシーンがあります。
きっとこの雅美ママも子供の頃に[いい子いい子]してもらったことが無かったのでは無いでしょうか?
《私が今、誰かにしてあげていることは、私も誰かにして貰ったことである》という言葉を思い出しました。
自分がされたことの無いことはきっと出来ないんだろうと思います。
そして甘えた記憶も無いのかも知れませんよね。
だから旦那さんにも甘えることが出来ずに鬱積していくばかり…。
悪循環ですよね…。
なんとか自分を愛せれば…。
そして今、誰かに愛されていれば…。
でも子供はママを愛しているんですよね。叩かれても、突き飛ばされても…。
自分が悪いと自分を責めながら、それでも真っ直ぐにママを愛して、愛してもらいたいと願っている。
そして
ママ友(池脇千鶴)も虐待を受けて育ったことが描かれています。
彼女も自分の過去と葛藤しながらも、なんとか世代間連鎖を絶ち切ろうと(自分自身と)闘っているのかもしれませんね。
これらは本作のほんの一部であり、本作の感想を全て語っていたら、たいへんなレビューになりそうで、とても全ては語り切れませんが、それほど素晴らしい作品だということです。
また安易な着地になっていないのも本作の素晴らしいところではないでしょうか?
教師の岡野(高良健吾)が何度も繰り返し言う「分かんないけどね」は印象的です。
安易に答えが出ることではないんだと思います。
簡単に解る筈もないでしょう。
一人一人事情が違うのですから。
でも扉をノックしなきゃ何も始まらない。
答えは本作を観た人それぞれが考えていくものなのでしょう。
私は
きっと完璧な子育てなんて無いんじゃないかな?
と思います。
今、あなたの隣でお子さんが笑っているなら、きっとあなたの子育ては成功しているんですよ!きっと。
分かんないですけどね。
最後に映画
『チョコレート・ファイター』より
誰も完璧に生きることは出来ないー
まして心に傷を持っていればなおさらだー
しかしそんな人生を救ってくれる唯一のものがあるー
それは愛であるー
自分を映すかがみ
自分の行い、考え方を見直させてもらえた。
最初はどうしようもない親に育てられ、頼りない先生。見てて「なんで?」って勝手に怒ってた。
この映画のメインは、頼りない先生が、甥っ子さん、子供と触れ合うこと、ただ触れ合うこと。
それまでに苦悩して、苦悩して、理不尽さに逃げ出したくなり。きっと私が先生だったら、子供たちや親御さんのせいにして逃げ出していたと思う。
しかしこの先生は逃げなかった、文句は言いつつ、自分側を見た。
生徒方の笑顔を見て、自分の傲慢さ、所詮は他人を変えたがる人間で、なにを上から見てるんだと自分自身を疑った。
母に、散々迷惑かけた母に、まず、「ありがとう」と言います。
沢山の当たり前の難しさ、自分本位で考える自分に気付かされました。
出会えて良かったと思える映画が、また一つ増えました。ありがとうございました。
職業が‥
仕事を思い出して嫌だった。自分のクラスがこんなだったら‥。と恐ろしくなった。仕事で普段思ってることとこの映画が言わんとしていることが合致していて、結構響いた。せっかんされたことはないけど、実際にきっとたくさんいる。それを知らなきゃいけない。抱き締めてもらう宿題のくだり、自分が甥に抱きしめられたからってなんで言わなかったんだろう。それを言えば子供も少しは変わると思うのに。最後、神田さんはどうなったんだろう‥。きになる。生きてればいいけど。
呉 美保 × 池脇千鶴
呉監督の作品は「そこのみ」に続いて2作品目の鑑賞となります。
私は映画に感情移入しにくいタイプなのですが、毎度呉監督にはその壁を崩されてしまいます。笑
特に印象に残っているのは、自閉症の子の演技力というか、模倣能力の高さ。凄く特徴を捉えています。
千鶴さんの「うちの子にならない?」という言葉。あの言葉は'あなたがどんなに傷つけても、この子はあなたの味方なのよ'というメッセージが込められていると私は解釈しました。
富田靖子さんのお婆さんに謝罪するシーン。障害を持つ子の親御さんの気持ちを見事に表現されていました。
子供達が宿題の感想を言うシーン。見ていて、凄く生っぽいなと思ったら、なるほど演技では無いようですね。
みんな「いい子、いい子」されたいんですよね。
「そこのみ」に引き続き、見終わった後、題名と内容がしっかりリンクされるのも呉監督の映画の特徴だと思います。
身近にある現実
けして他人事ではない、すぐ隣にあるような事ばかり、胸が締め付けられる思いでした。
そしてその出来事たちは、実はあまり直視したくないと思ってしまう事ばかりで。
大人だからいつも正しく強くあらねばならないと思うけれど、間違いもあるし迷いも悩みもあって、そういうとき受け止めてくれる誰かがいてくれることの尊さを思いました。
子どもと同じように大人も抱きしめてもらう必要があるのだと思いました。心を。
登場人物は皆、孤独でした。
一人で抱えて誰にも打ち明けられず、不安を抱えながらも一生懸命生きる人たち。
でも終盤、それぞれが孤独を受け止めてくれる誰かと出会い、その先へまた進めるなにかを見つけたことが救いでした。
出演者の方々の演技はとても素晴らしく、子供たちも自然体で普通の学校そのままを見ているようでした。素晴らしかったです。
池脇千鶴さんが尾野真千子さんを抱きしめるシーンは涙がとまりませんでした。
救い
社会派の一本。
愛情の在り方、人との関わり方、他を尊重するあまり複雑化した現代の日本が浮き彫りになってる。
僕の隣にある現実。
でも、じっと見つめる事はしてない。おそらくしたくないからだ。
見てないから、認識してないからといって、その問題はなくなるわけじゃない。
そういう事を確認する。
ただ、この映画には血が通ってるように思う。
複雑に絡まって、結び目がいっぱいできちゃったロープでも、時間をかけて、ゆっくりと、徐々にでも解きほぐそうよ。
やれなくないよ。やってみようと、言われているようだ。
画面はとても静かだか、内面は荒波の如く揺り動かされる映画だった。
2015年度ベストワン級の作品
期待値を遥かに上回る
呉美保監督の前作『そこのみにて光輝く』は去年のマイベストでした。否が応でも上がる期待値を「前作超えはないだろ…」と抑えつつ劇場に向かった結果…
いきなり個人的なことで申し訳ないのですが、恥ずかしながら、いい歳した男が訳わからないぐらい号泣してしまいました。終わった後も席から立てず、劇場を出てもしばらく泣き続けててなんじゃこりゃっていう。私決して涙脆い方ではないのですが。ある人物がある児童の存在を当たり前のように肯定する当たり前のようなシーン、他の映画ならなんてことないシーンなのだと思いますが、ここでやられました。派手な演出や演技、シチュエーションではないのにどうしてここまで感動したのか、自分でも掴みかねています。
それ以降はもう涙が止まるシーンがなかったです!呉美保監督は鬼!
「(ざっくり)愛」「暴力を振るう者の目線」といったテーマややろうとしていることは同監督の前作から引き継がれている部分が大きいような気がしますが、異なるのはしっかり解決策、そしてその先の希望を見せてくれているところかなと(『そこのみにて~』もラストに希望がないわけではないんですが)。まあ、頭で考えれば解決策と言うにはあまりに甘過ぎるかもしれません。
それは言ってみれば綺麗事かもしれないんですけど。でも僕は綺麗事を信じられる、信じたくなるところに映画に限らずフィクションの醍醐味があると思うので、その点で言っても本当に素晴らしい作品。
また、「愛」なんて口にすれば胡散臭い言葉をあらん限りの演出と演技でまさしく体現している稀有で映画的な一本だと思います。普遍的なテーマだからこそ多くの人に見て欲しい。
そこで大きな役割を担っているのは『そこにみにて~』から続投の池脇千鶴さんと高橋和也さん。そして富田靖子さん。特に池脇さんは途中まで遠目のショットが多かったのもあって全く気付きませんでした。高橋和也さんもあの土建屋の社長と同じ人に見えない…。
僕は今まさに子どもと大人の過渡期的な年齢にあります。だからこそ余計に、一切の台詞のないラストシーンから監督の「お前はこれからどうする?」という強いメッセージを感じました。人生をかけた宿題を出された感じですね笑 今劇場でこの作品を観られたことは今後の人生において大きいとはっきり思います。呉美保監督のフィルモグラフィーを追いかけながら答え合わせしていこうかなと思います。
何処にでも有りそうな日本の縮図
これはいい映画
タイトルは『きみはいい子』にかけて。
呉美保監督。前作の「そこのみにて光り輝く」が名作だったからこその今回どうなるかと思ったら今回も名作でした。
「いい子」の真逆の言葉。「悪い大人」
この言葉を浮かべながら観てると特に「大人という立場にいる人」には響くのかなぁと。
一番の見所はやっぱり2人の主人公がそれぞれ抱きしめられるシーン。
抱きしめるという行為がいかに尊いことか。抱きしめられることによって安堵することがある。抱きしめられることによって赦されたような気持ちになれる。抱きしめられることで感じられる愛がある。
自分の大好きな人・自分を愛してくれる人に「抱きしめて欲しい」と言うことは照れくさくて恥ずかしい。それをお願いされて抱きしめる方だって恥ずかしい。だけど、抱きしめられるってのは特別なことでなかなかしてもらえることではないですよね。
抱きしめて欲しいと素直に言えないならばせめてこの映画を一緒に見るように誘ってみては?
ほんの少しは抱きしめられるような安心感を共有できると思うので。
子供に優しくすることで、その子供は他の人に優しくする。優しさは伝播する。
でも、子供を攻撃する。そうすると子供は自分を守るために他人を攻撃する。そうして恨み・怒りが生まれ、それもまた連鎖してしまう。
だったら優しさを伝播しよう。子供に優しさを届けよう。
池脇さんの演技が秀逸
テレビドラマ「moher」から久しぶりの娘を虐待する役を演ずる尾野真 千子。娘が何か自分にとって不愉快なことをすると、容赦なく叩く。しか しそれがかなり自分にとってもストレスとなり自傷行為に走ってしまう。 そんな彼女を助けた のが2児の母親池脇さんだ。今回この池脇さ んの演技がもっとも素晴らしかった。 「(家族の誰かに)抱き締められてくること。」という宿題。全ての生 徒が「抱き締めらる」ことで、日ごろ溜め込んでいた何かを解き放たれの だろうが、神田さんにとってはこの 宿題は、あまりにも残酷に思えてならない。映画の最後に向 かうにつれて 自閉症の子と痴呆症になりかかったおばあさんとの交流に重きを置いて いる。 最後、岡野が17時になってしまい、急いで神田さんの家まで走る、か なりのスピードを要求されていた。結局、神田さんの家の扉を叩くところ でこの映画が終わるわけだが、何だか「えっ」此処でエンドロール?と思 わずには いられない。岡野が出した宿題は、神田さんにとっては地獄の底へ突き落 すほどであったと思えて、不快であった。清水さんの「いじめ」は?どうなったのか。
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