「アベンジャーズよ、これが邦画だ!」きみはいい子 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
アベンジャーズよ、これが邦画だ!
「きみはいい子」見ました。
面白かった。邦画ならではのテンションと言うか、そーゆー物が高次元で見れただけで感動。現代が抱える問題に鋭く切り込んだみたいな宣伝を見たけど、別に鋭く切り込んでるワケじゃないですよ。鋭くないからダメとかじゃなくて、これで良いんです。だって僕の心には鋭く刺さりましたので。
月並みな評価だが、とにかく役者が素晴らしいですね。「悼む人」を見た時は微妙だと感じた高良健吾さんは、あの草食系の雰囲気が新米教師にぴったりだったし、尾野真千子さんも良かった。尾野真千子はコメディにもシリアスにも振れる素晴らしい役者さんだと改めて感じました。あとはヒマワリ学級の高橋和也さん。あんな風にTシャツ+ジャージの先生は大体どこの学校にもいると思うけど、まさしくみんなあのテンションですよね。明るくてポジティブな教師を、嫌味なく演じていて心地よかったです。喜多道枝さんも池脇千鶴さんも、高良クラスのガキどもも良かったです。小学校の先生って大変ですね。
話としては、高良健吾擁する小学校問題と、尾野真千子擁する虐待問題。これを同時に語るにはテーマが違いすぎやしねーかと感じました。それは主役2人が抱える葛藤を比べれば明白であり、事実各々の場面に切り替わるごとに違う映画に見えて仕方なかった。せめて最後は無理矢理にでも一つに纏めて欲しかったと思いました...。
あとは最後ですけど、池脇千鶴が尾野真千子をいきなり抱きしめるのは、少しやりすぎな演出な気がしました。やりすぎと言うか、そーゆー話じゃないでしょう?って思ってしまいましたね。尾野真千子自身が幼少時に虐待を受けてたからナデナデってやってる場合かよ。小悪党にはしっかりとした制裁を。
一方の高良健吾視点のラスト。最近の邦画はあーゆー見せ切らないラストが本当に多いけど、どうなんです?言わば、5時になって高良健吾のテンションが上がってスタートを切りました。で、あの生徒の家に着いた所がテンションMAXじゃないワケですよ。しかも見てて、え、この家誰も居なくない?って空気感じましたし。せめて、玄関が少し開いた所で終わるとかじゃないと、何にもその先をイメージ出来ません。全編良かっただけに、ラストは少し残念(少しね)。
あとあれです、高良健吾さんの彼女の言い分が心底不愉快でした。「私は何ヶ月も準備し続けたプレゼンで悩んでんの!あんたの言ったのは何?小学生のオシッコが何とかって?」的なヤツです。こんな偉そうで不愉快な女なんて、他の男に取られて結構だ!
総じて、限りなく傑作に近い良作です。
アベンジャーズやMAD MAXも素晴らしい快作だけど、そんな世界的超絶大作にも決して引けを取らない素晴らしく楽しめる作品だと思います。