「ヤバい。4回ないた。映画っていいな。」きみはいい子 akrさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤバい。4回ないた。映画っていいな。
そう、思わせてくれる傑作。
力のある作品だと思う。
個人的な主観が入り交じって冷静にかけそうにないが、かかないわけにはいかない。
【テーマ】
愛とは何かを再認識させてくれるようなテーマだと思う。
子供主眼で描かれているが、決してそこだけではなく、子供が大人になり、大人が子供のように主体的な都合で子供に振る舞う。
それでも、子供は大人/親に拠り所を求める。
だけど、言えない。
『抱きしめて』
ママが心配だから。父ちゃんが怖いから。
5時までは帰ってくるなって言われるから。
次第に何がいい子かわからなくなる。
大人の都合にはわがままもたっぷりで、一貫性もないから。
だから、家にはサンタさんは来ない。
いい子じゃないから。
『どうしたら、いい子になれるんだろう?』
ママに叩かれる。
とても怖い。とても痛い。
とにかく謝る。ごめんなさいする。
最初は怖くて泣いているのだけど、途中からママもトイレで泣き出す。
それに気付いて申し訳なくなる。
大好きなママを泣かせている。
また、謝る。ごめんなさいする。
泣きながら。
負の記憶は連鎖する。
自分がしてもらったように(されたように)しか出来ない。わかってる。悩む。
でも、そうならないように、、
また、自分を責める。
泣きながら。
だけど、救いはある。
家族だけじゃない。
人は人を抱きしめられる。
他人だろうが。
KYだろうが、不恰好だろうが、構わない。
介入できる。
そんな、ラスト。
人を、抱きしめられる勇気をこの映画にもらった。
宿題を簡単に、済ませてあげられる人間でいよう。
非の打ち所がない。誰にも否定できない。
なにせ、これこそが愛。
監督、素晴らしい。そして、ずるい(笑)
でも、ありがとう。
【手法】
シーンの切り取り方、つなげかた、基本に忠実な感じはするが、ものすごく、効果的。
特にラストに向かっていく全てのカット、音の使い方、秀逸。
ある意味で壮大なテーマをおおげさにもならず、チープにもならず、小手先にも走らず描ききった監督に脱帽。
キャストの皆さんの素晴らしいお仕事にも脱帽。そこのみの時の綾野剛さん同様、監督、若い男性俳優の素の魅力を引き出すのが抜群にうまい。尾野真千子さんの丁寧なお芝居も素晴らしいし、なんといっても、池脇千鶴さんは圧巻。
正直、みんなに全員に万人に是非是非是非、見てほしい作品。
そして、みんなを抱きしめたくなる作品。
当たり前の事を当たり前にいう。
宝物を抱きしめる。
それこそが大切な事。それこそが愛。
きみはいい子