「アメリカ映画への永遠の憧れ。」アデュー・フィリピーヌ comeyさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ映画への永遠の憧れ。
『メーヌ・オセアン』と比べるとあからさまな失敗作で、フランス映画史を研究してますとかの酔狂な人でないかぎり、今さら見る必要ないです。
貴重なのは、この時期のフランス映画がいかにアメリカ映画を夢見ていたかが露骨に分かる画面になっていること。画面のことごとくが、50年代アメリカ青春映画のパロディになっている。『カイエ』の監督たちは基本全員そうだけど、これほど全篇露骨にマネている例はあまりないのでは。
でも同時期の重要作家に比べるとシーンを作るのは下手だしショットの構成も不器用だし、脚本にも見るところはない。この映画に関するかぎり「トリュフォーが嫉妬」「ゴダールが畏敬」とかいうのはただの宣伝文句ですね。
映画評論家という仕事は、本当はそういうことをはっきりばっさり指摘すべき人たちなのだが、日本ではなんかふにゃふにゃもっともらしいことを言うんだよね。いいですか(笑)、フランス映画全踏破でも目指しているのでないかぎり、見る必要ありません。このテイストならば世にはもっとマシな映画が星の数ほどありますし。
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