「夫がゲス野郎なので感情移入できない」岸辺の旅 カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)
夫がゲス野郎なので感情移入できない
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深津絵里がかわいく撮られているとは感じたが、浅野忠信があまり魅力的に見えなかった。
そもそも幽霊の夫と生きた人間の妻なのだけど、再会するさまざまな人たち(霊もいれば人間もいる)にも死んでいるはずの夫が普通の人間として見えていて、共に生活したり仕事で働いたりしている。
妄想か幻覚またはよみがえりを描いているようなのだけど、説明もなく矛盾も多い。
なんだかよくわからず解釈に困り、ストーリーに入り込めなかった。
また、浅野忠信演じる夫が生前浮気していたという設定なのだけど、嫉妬する妻に対してその相手の女性のことをあんなのどうでもいい女なのに、なんでそんなに怒るんだ、的なことを言う。
とんだゲス野郎だな、と感じて気持ちが悪い。
だからなのかもしれない。
最後の方で夫婦2人のベッドシーンがあるのだけど、こんな夫のどこがいいのか、という気持ちになっていたので、見ていて不愉快な画だった。
(そもそも死んだはずの夫なのにできてしまうというのは、一時的に肉体の戻るよみがえりなのか?やっぱり妻の幻覚なのか?と混乱しながら見ていた)
モヤモヤした気持ちのままで最後の別れの場面になり、残される妻は哀しそうなのだけど、ゲス夫なので別れが全然可哀想に見えず、感情移入ができないまま終わってしまった。
深津絵里も浅野忠信も好きな俳優なので、かなり残念でした。
この映画は男性目線で見れば、浮気をしても、置き去りにしたまま失踪しても、妻は自分を想い続け待ち続け、かわいい嫉妬もしてくれるし、身体を求めてくれる。あまりにも都合がよすぎるが、良い作品に見えるのかもしれない。
女性目線で見ると真逆だ。
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