「微妙かな」愛を積むひと kita-kituneさんの映画レビュー(感想・評価)
微妙かな
予告編を見てどちらかと言えば苦手なタイプの作品?と思いつつ、地元地域撮影なのと樋口可南子出演なので観てもいいかと・・・
(都会の人間が北海道に来て云々と言うのは、正直好きじゃない・・・が、都会と絡まないと衰退しちゃうのも事実)
案の定、やや作りすぎ、盛りすぎな感があって、感動の押し売り的印象もある。
また、地元業者や馴染みのある百貨店風景も出て、宣伝臭も感じられるなぁ・・・と思いつつ観賞。
落としどころとしては、まぁ、あんなものか。
個人的には牧場主の柄本明が良かった。子供や外見から考えられる妻の年齢からすると老けすぎな印象もあるが・・・
後半の妻とのシーンは蛇足かも。感動的にしたかったのだろうが。
気になるのは予告でも出ていた手紙のシーンはともかく、やや説明セリフが多いところ。
画的に省けるところは省くのはいいが、結局セリフで肩代わりしている面もあり、工夫が欲しいところ。
「映画」と言う映像作品を観に行っているのであって、セリフで語るなら寝てても(目をつぶっていても)良い。
夫婦は工場をたたんで北海道に、というストーリーだが、あんまり落ち目になった印象もなくやや不自然にも感じる。
映画なのでカッコ良すぎになるのは否めないのか。
また生活費や石積み工の材料費などが気になるところ。
平間造園の頼りない親方(地元タレントの森崎)、初めの出番はいいとして、最後の出番がちょっと・・・
バイトへの処遇その他について、何か一言ないんかい。
風景的な面は好感が持てた。
内地(道外)向けにきれいきれいな風景を撮りがちであろうが、日常にそんなこともなく、地元民からすると辟易するところ、わりと普段着的な風景だったのではないか。
観光的に美瑛は夕景がドラマチックでお奨めなのだが、そこは押さえつつも、普段の晴れ間。なんだか薄曇りで、はっきりしないような青空が上川地方特有のものであって、地元民が普段見る風景であり、実在感が出ていたように思う。完璧な青空もたまにはあるが、稀であり、それを出さずに普段の風景を切り取るあたり、なかなか感心な監督だと思えた(単に撮影中にピーカンの青空に恵まれなかっただけかもしれないが)。ちなみに綺麗な青空を期待するなら北見地方がお奨め。
近作では妙に(オーバー露出なのか白日夢でも見ているような)ファンタジックで腰のない画の印象の「しあわせのパン」や、あそこまで最果て感を出すこともなかろう(徹底した俗的な風景の削除)と思えた「北のカナリヤたち」などと比べ、変に飾り立てた風景でもなく、スチルでは撮らないものの(やっぱりドラマチックに撮りがち)、ムービーとしてはアリかなと。
地元民からすると、あの家、真冬の除雪が大変そうとか、アクアでコンディションの悪い雪道を走れるのか?等の懸念も感じられるが、そこは映画と言うことで。
一番美しいかもしれない真冬、氷点下25~30℃の画がないのはちょっともったいないが・・・本編の雪景色は序の口なのだが、地元民も住まないような掘立小屋で暮らす某有名ドラマよりはマシか。
某所の東が西になっていたのには笑った。
あそこの実名称はまずいのか・・・?
ラストはあっさりめで、感動を誘うのにはちょっと弱い。
クリントイーストウッドならきっちり感動させてくれそうと思ったら、原作は欧米?
夫婦愛としては・・・理想は理想かも知れないが、現実は・・・
もう1回見るかは微妙なところ。途中で寝ちゃいそう。尺が長い印象も。
追記
予告編で美瑛を村と言っていたが美瑛「町」なのでお間違いなく。あと、美瑛の風景を自然の風景と言うが、原野山林を開墾して作った人工的風景と思われ。