「エンタメとして楽しみつつも、何かと考えさせられた」天空の蜂 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメとして楽しみつつも、何かと考えさせられた
エンタメ性重視の過剰演出が目立ったり、何かとキャラ設定にも問題があったりで、いかにも映画通からダメ出しされそうな雰囲気満載な映画ではありましたが、私はそれらを割り引いても基本面白かったですし、何かと考えさせられた映画でもありましたね。
まあ東日本大震災の福島原発事故を経験する前だったらどこまで感情移入できていたか分かりませんし、ただ過剰演出を突っ込んでいただけだったかもしれませんが、あれを経験した今となってはやはり真剣に見入ってしまいます。
しかしこれが95年に書かれた原作と言うのがまた凄いですね。
まるで今の日本を暗示したような内容でした。
震災を経験した今となっては、リアルな恐怖として感じ取れますね。
絶対大丈夫はもはや通用しない世の中と化した今だからこそ、映像化する価値は大いにあったと言えましょう。
これを様々な思惑が錯綜する堅苦しい社会派サスペンスとして描いていたら、果たしてどこまでの人が見たか微妙なところかと思いますが、そこをとても見易い堤流エンタメ作品として描くことによって、映画通には批判されようともたくさんの人に見てもらい、再稼動の方向へ進む原発について再度考える機会を作ってもらった気がして、とても有意義な映画に思えました。
単純にパニック映画としてもまずまずの見応え、突っ込みどころは満載でしたけど、前半の子供救出作戦も後半の原発爆発回避作戦もスリル満点で、基本ハラハラドキドキ楽しませてもらいました。
ある程度犯人や共犯者が分かりつつも、これだけドキドキさせる演出はお見事の一言でしょう!
まあ政治的踏み込みはかなり甘めも、何かと考えさせられた映画でしたよ。