劇場公開日 2014年12月20日

「八円の愛はどこに」百円の恋 ちんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5八円の愛はどこに

2024年7月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ずっと気になっていた作品。
Amazonで解禁されていたので視聴。

◾️映画全体の感想
とんでもなく自堕落な一子が恋をきっかけに、男とボクシングを通じて、自分の「痛さ」と向き合い、決別し、少し大人になる映画。
ストーリー面は、難解な表現はなく、何も考えなくても内容が分かる映画でした。
しかし、一子のちょっとした台詞や涙の意味、100円の持つ意味など、繊細な心理描写があり、邦画っていいなぁて思いました。

一見、一子のサクセスストーリーなのかと思いきや、ボクシングは相手に圧倒されて負けるところが良いと思いました。
そりゃ、そんな簡単には勝てないよなぁ
百円なりの人生だもん、全部は上手くいかない。
恋も人生も諦めていたけど、本気で向き合ったから、「悔しい」、「勝ちたい」の気持ちが生まれて、少し前に進めたのだと思いました。

とりあえず、安藤さくらの体型の変化とボクシングの動きは、俳優としての本気を感じました。
この作品の安藤さくらが1番好きになりました。

◾️印象的だったシーン
百円ショップで働きクビになり、百円のバナナを買う狩野に恋をして簡単に捨てられる。
取って付けたみたいに見つけた居場所は百円なりの場所ですぐに無くなってしまうように感じました。
一子の言う「百円程度の人生」だから、百円で恋をして、ボクシングに出会い、生き方が変わり、捨て身になって、過去の自分に打ち勝って、人生変えたいと思ったのかなと思いました。

ボクシングに負けて、号泣するシーンは印象的でした。狩野に抱かれた時に流した涙とは違う涙なんだなと。
そしてそこから流れるクリープハイプの「百八円の恋」は最高に鳥肌ものでした。

◾️ボクシング
一子は、試合中は憎しみあって殴り合いをしていても、試合が終わったらノーサイドで抱き合うところに惹かれ、ボクシングを始める。
序盤で姉と喧嘩する場面の一子のパンチと、終盤のボクシングでの一子のパンチは意味合いは大きく変わる。
映画を観ながら、そんな風に思いました。

◾️八円の愛はどこに?
本作の主題歌のクリープハイプの「百八円の恋」は最高に良かったです。
こんなに映画を代弁する曲なかなかない笑
歌詞の「百円の恋に八円の愛」とありますが、一子はこれから八円の愛を見つけていくんでしょうか〜〜?

ちん