「原作者の思い入れ強すぎる部分を大泉洋がサクッといなす」アイアムアヒーロー しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作者の思い入れ強すぎる部分を大泉洋がサクッといなす
予算があればハリウッド映画並みの映画が日本でも作れる、とか言う、とても経済活動をしてるとは思えない人間の思考をさっき目にした。
しょせん映画オタとはそんなもの、と改めて笑かせてもらった。
「アイアムアヒーロー」
きったない絵柄とダメ男をヒーローにしたがる原作者の思い入れが強すぎてめんどくさく、ハマるまでに脱落者続出の原作は、そこまで長く続ける必要あるか?と思いながら、だらだらと読んでいる。
だが、先日書いた「テラフォーマーズ」の原作よりかは遥かに面白い。ちなみに映画「テラフォーマーズ」は面白かった。
この巷で好評な映画は果たして三池色満載のそれと比べてどうか。まったく個人的な見方だが、これを観る理由はそれ以外にない。
本作、邦画ゾンビ映画としては、最高という意見も多いが、そもそもゾンビ映画を大手が撮るわけはないので、これは予告でも分かるように「告白」や「渇き」といったたぐいの代物。
TVで放送しない前提で撮ることが出来たことが大きい。
序盤の展開はザック・スナイダーの「ドーン・オブ・ザ・デッド」を彷彿させる。どこまでワンカットで行くかと思ったら、意外と短かったが、それでもZQNが溢れかえるシーンは楽しい。
主人公鈴木英雄を演じる大泉洋のルックスは完璧。だが、剃り残しなヒゲ、眼鏡に代表されるルックスのみならず、話し方や妄想に飛ぶところなど、映画ならではのキャラクター描写はもっといい。
後半の、ほとんどテンプレな、まっすぐすぎるストーリーのつまらなさは、この大泉洋のキャラクターでなんとか観れている。
ラストの大立ち回りも確かにちゃんと、ヒーロー然とする英雄を描いてはいるが、やっぱりもうひと捻りないため、徐々に飽きる。
ヘタレがついに銃を撃つ、というカタルシスはあるも、それのみだと飽きちゃうんだよ。ましてや身体能力まで上がるのはさすがにどうかと思う。
作り手は間違いなく、ピーター・ジャクソンの「ブレインデッド」を観てるだろうから、爆笑血みどろな、楽しいシーンをあのロンゲか、いっそ長澤まさみにでもさせてほしかったかな。
大泉洋と長澤まさみ、有村架純が出ていて、この描写、というんで驚くのもよいが、日本でできないことを韓国でできた、ということにもっと関心を持つべきだ。
監督の力、というよりスタッフの力が映画をつくる、という一面を知ることにはいい例だ。
「テラフォーマーズ」と本作、スタッフの力を感じる、と言う意味で両作を見比べるのも良い。
追記
オレはだんぜん、三池「テラフォーマーズ」のほうが好きだけどな。