劇場公開日 2014年12月20日

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ベイマックス : インタビュー

2014年12月16日更新
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「ベイマックス」で吹き替え初挑戦の菅野美穂&小泉孝太郎、“14歳だった自分”への思い

社会現象を巻き起こした「アナと雪の女王」に続くディズニー・アニメーションの新作「ベイマックス」は14歳の少年ヒロが、亡き兄が開発したケア・ロボット“ベイマックス”によって心の再生をとげる感動アドベンチャー。日本語吹き替え版では女優の菅野美穂が、ヒロの叔母で育ての親であるキャスを、俳優の小泉孝太郎がヒロの兄でベイマックスを開発したタダシを演じ、映画の吹き替え声優に初挑戦した。声での演技は「難しかった」と口をそろえるふたりが役作りの手がかりにしたのは、ティーン時代の思い出と経験。主人公と同じ“14歳だった自分”への思いが、ディズニーキャラクターに命を吹き込むふたりを支えた。(取材・文・撮影/内田涼)

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「10代で芸能界デビューし、初めてドラマに出演したのが15歳のときでした。当時は環境の変化についていけず、知らず知らずにストレスがたまっていたように思います。ヒロも大好きなお兄さんの死という現実に、うまく感情がコントロールできなくなってしまう。そこに現れるのがベイマックスなんですが、私も『あのとき、ベイマックスがいてくれれば』って思いますよ。10代ってデリケートな年頃で、親にも相談するのがいやですもんね」(菅野)

そんな当時の思いが、ヒロの保護者であるキャスを演じる上で大いに参考になったというのは興味深い。「キャスの魅力は感情豊かであると同時に、ヒロとタダシという多感な男の子ふたりを絶妙な距離で見守っているところ。干渉しすぎることなく、彼らの成長のスピードに合わせて、大事に育てるというのはパワーも必要だし、難しいと思うんですよ。それと同時に経験上、ヒロの気持ちもよくわかるので、例えば『落ち込んでひとりになりたいとき、ヒロだったらどうしてほしいか』と考えて、キャスとしてヒロとの距離感を測ったりしましたね」。女手ひとつで甥(おい)っ子を育てる姉御気質の明るいキャスは、菅野本人のイメージにぴったりだが、考え抜かれた役作りのおかげで、キャラクターに一層説得力が増している。

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一方、弟思いの兄タダシを演じる小泉は、「うちにも弟がいるので、タダシになりきるイコール僕の実体験でした」と語る。タダシとヒロは仲がいい兄弟という関係を超えて、唯一の肉親、そして同じロボット工学の道を進む同志であり、その絆はタダシが亡くなった後も、ベイマックスを通して強く結ばれる。「弟はいつだってお兄ちゃんに負けたくないし、超えたい存在。お兄ちゃんには『お前にはまだ負けないよ』って自負もあるし、口にはしないけど弟を大切に思う気持ちもある。それが映像からもすごく伝わってきましたね」と小泉。そんな兄弟エピソードに、隣に座る菅野は「へえ、そうなんですね」と興味津々だ。

ちなみに10代だった小泉が夢中になっていたのは野球だといい、「とにかくがむしゃらに頑張って、甲子園を目指していました。プロ野球選手にもあこがれましたよ。今振り返っても、かけがえのない時間だったと思いますね」としみじみ。「実は『ベイマックス』を見終わった後も、当時の純粋さやひた向きさを思い出して、本当に心が洗われたんですね。子どもが楽しめるのはもちろん、大人が見たら、今こそ大切にしなくちゃいけないことをたくさん感じるはず」とまっすぐに語る姿には、タダシの誠実さが重なって見える。

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慣れないアフレコに悪戦苦闘したのも事実。菅野は「どうしても目から入ってくる映像にすがってしまいがちで、女優としての経験が頼りにならず、まったく違う感覚でしたね。ディレクターの方からいただいた言葉で印象に残っているのは『声に芯を持たせてほしい』ということ。新鮮な体験の連続でした」と振り返る。小泉は「30テイクくらい録ったシーンもある」と明かし、「ふだんのお芝居を何割増しかするくらいが、アニメーションにはちょうど良かったりするんですよね。台本を1ページ進めるのに、すごく時間がかかってしまい、自分のふがいなさを感じましたよ。心が折れかけました……」と苦笑いを見せた。

最後に心とカラダを守るケア・ロボット“ベイマックス”にちなみ、ふたりにとって心が守られる“癒し”を聞いてみた。「やっぱり生まれ育った(神奈川県)横須賀はすごく落ち着きますね。高速から横須賀の海を見ながら感じる風は、ほかの海にはない心地よさがありますよ」(小泉)、「私は、お寿司ですね!カウンターのお店は緊張しちゃうので、回転しているほうが助かります(笑)。ウニが大好きなので、ウニ食べて、マグロ、またウニに戻る……みたいに自由に食べたいです。そういう食べ方はカウンターだと、失礼にあたってしまいますもんね」(菅野)。

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