海街diaryのレビュー・感想・評価
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死ぬ前に何を思い出すだろう。
今日、眠れず、明日が月曜日なのに、夜ふかしして最後まで見てしまった。
今回の映画は、4姉妹の女性ばかりの話に何を感じるだろうなんて、思いながら見たが、静かに感動する物語だった。
こういう感想でにごしてしまう感想のパターンがたまにある。
いうまでもないだろう。
みんな人間味があって、優しくて、静かに心地よい時間が流れる映画だ。
自然の風景が良かった。
長女はアメリカ行かないんだなあ。
すずは三姉妹との出会いが人生の宝物になった。
父も母も、父を愛したすずの母もいろいろあるさ。誰も悪者にしない。葛藤を持ちながらも、それぞれの優しさを汲んでく姉妹たち。
定食屋のおばさんに、リリー・フランキー、樹木希林ら、すべてナイスキャストである。
葬儀が2回登場したが、人生について考える機会だなと思わされる、果たして自分はどう生きるのか問いかけられる。
最後に海辺を歩くシーンで、日本海に面した土地に住んでいた自分には、何かぐっとくるものがある。自然の美しさ、たくましさ、優しさ。
海辺で過ごした少年時代に思いを馳せた。
最後に死ぬときに自分はどんな風景を思い浮かべるだろう。
美しい桜を美しいと死を間近にしても感じられたらそれは幸せに違いないだろう。
是枝次作はキャッツアイを。
超美人姉妹
ただただよかった
自分に合うか合わないかだけの問題
時代は変わったようですが、それでも人を思いやる細やかな感情は日本人が日本人である限り変わらないのです
前作の「そして父になる」では男の子でした
本作では女の子供を扱っています
女の子は父に対して男の子とは全く違う強い感情を持っているようです
四姉妹の物語といえば、「若草物語」と「細雪」が思い出されます
本作は四姉妹が同居して暮らしていく物語です
そして四姉妹の様々な出来事を季節の変化と共に、それぞれが「リトル・ウィミン」に成長していくというテーマは本作と共通しています
ですから「若草物語」そのものです
その見事な翻案だと思います
もしかしたら梅酒の梅は若草物語のプラムフィールドのもじりで、是枝監督からの元ネタばらしだったのかも知れません
若草物語はいくつかありますが、自分は1949年公開のマーヴィン・ルロイ監督の作品をおすすめします
本作は鎌倉が舞台です
鎌倉といえば小津安二郎監督作品の名作の数々が思い出されます
本作の四姉妹が暮らす古い家は、その小津安二郎監督作品に登場したあの家と、門構え、庭、廊下、突き当たりの階段などなど、ほぼ同じ作りのようです
家への道も舗装されていますが似ています
あの名作の数々のドラマがあった時代から60年経っています
小津作品の父母は、本作の四姉妹の曽祖父母の年代です
彼女達の祖父母が、小津作品の青年や原節子が演じた娘達の年代になります
では本作の父母はというと、小津作品に登場した小さな子供達なのです
それ程、時は流れました
あれほど娘を思い父を心配した家族が暮らしていた家の60年後の物語です
父も母もまだ子供だった娘達を置き去りにしていったのです
原節子の世代の祖母が娘達を大人まで育ててくれたのです
お葬式や、法事で、物語が駆動されていく本作の仕掛けは、こうした世代の移り変わりを伝えているものだと思います
不思議なことに本作公開の2015年6月から3ヵ月後の9月に原節子がお亡くなりになっていたそうです
95歳だったそうです
新しい女優達が傑作をつくり、大女優がお亡くなりになっていく
時代の変転そのものです
このように時代はゆっくりと確実に変転していきます
しかし、鎌倉の美しい光景、自然はあの頃の面影をしっかりと留めています
同じように、時代は変わったようですが、それでも人を思いやる細やかな感情は日本人が日本人である限り変わらないのです
四姉妹は葬式の帰り、浜辺で気を紛らわします
それぞれが「リトル・ウィミン」に成長した姿です
父と母のそれぞれの心情を大人として思いやれるようになっていたのです
それぞれの新しい人生の出発です
すずも大きな声を出して、自分の母の事も言えたことで、自分の居場所だとついに実感します
そしてそれは同時に、その事もすべて受け止められるようになった幸が成長した瞬間だったのです
その成長は彼女の不倫の恋も終わらせたのだと思います
鎌倉の古い家で四姉妹達はこれからも暮らしていくでしょう
やがてひとりふたりと結婚していつかは空き家になる日も近いでしょう
それでも鎌倉は古い佇まいを残していくのだと思うのです
皆、素晴らしい役者さんばかりでした
自分は千佳を演じた夏帆の演技に驚嘆しました
恐るべき自然さです
これほどの自然さな演技を観たことはないです
是枝裕和監督の演出の素晴らしさ
テーマを重層化させているところ
本当に見応えのある作品でした
傑作です
ちらりと垣間見える彼女らの傷が愛おしい
女を作って出て行った父。しばらくして母も出て行く。身勝手な両親に腹を立てながら、しっかり者の長女(綾瀬はるか)、奔放な次女(長澤まさみ)、我が道を行くの三女(夏帆)は、残された鎌倉の家を守ってきた。そこへ父の訃報。葬儀で、三姉妹は父が最初の女との間に作った娘すず(広瀬すず)をつれて、さらに別の女と再婚していたことを知る。その女にも連れ子があり、実父を失ったすずのつらい境遇を悟った長女は、すずを引き取ることにする。こうして腹違いの妹を加えた四人姉妹の生活が始まる。
両親との関係は四人それぞれ異なり、複雑だ。たとえば、三女よりすずの方が父のことをよく知っている。これだけ複雑な家庭なのに、diaryのように坦々と描かれる日常生活に、どろどろしたところは全くない。本当に何げない日常の一コマ一コマが丁寧に描かれ、そこにちらりと垣間見える彼女らの傷が愛おしい。その中心にすずがいる。「自分の存在が誰かを傷つけている」「自分はここにいていいのか」と感じながら大きくなったすずにとっては、姉たちと暮らすというのもリスクのある決断だったに違いない。中学生とは思えないほど姉たちに気を遣うすずがいじらしい。
物語の骨格は深いが、感動に行きそうになるところでクスリという笑いに引き戻す是枝裕和のバランス感覚が絶妙だ。ほとんど微笑ましい場面の連続と言ってよい。特に、次女のおやじっぷりがおかしい。いつも立て膝だし、家に帰ればさっさとスーツを脱いで下着一丁で肘枕になるし、話し方まですっかりおやじだ。綾瀬はるかが演じていた干物女を思い出して、これまたおかしい。
また、あどけなさの残る広瀬すずの存在感がすごい。演出上の位置づけもあるが、それにしても豪華女優3人が脇役に見えかねないほど、可愛いったらありゃしない。広瀬すずちゃんには、このときのまま永久に大きくならないでほしかった(笑)。
それにしても、梅の収穫、4人でする手持ち花火など、どうということのない場面でじわっと涙がにじむのは、歳をとって涙もろくなったからだけだろうか。
期待以上の作品
四姉妹と何気ない風景を綺麗に映した映画
個性的でそれぞれに魅力のある女優を美しく見せている映画だなと思いました。
なんでもない田舎の街並みも凄い綺麗な風景だなと思わせる撮り方がとても良かった。
ストーリー自体は見た目が地味で、ほとんど味がしないんだけど、咀嚼していくうちに唯一無二の味わいを感じ取れるような、気になってもうちょっと噛みたいと思うような、そんな話。
登場人物たちは比較的明るめで前向きなんだけど、頻繁に葬式で喪服姿になっているのが印象的。
最後も少し物悲しい感じで終わり、明日から元気出すぞみたいな映画じゃなくて、少しセンチな詩を読んだ後のような終わり方がまた味わい深い。
退屈で仕方がないような時に観るには向いていなくて、忙しくて少し落ち着きたい時に観たい映画。
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