海街diaryのレビュー・感想・評価
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受け継ぐことと煌めきと
1度目は適当に見ていたからか良さがわからず。他の方のレビューの評価が高いのを見て2度目を一人で視聴。是枝監督の次第に紐解かれていく周到な演出とストーリーを堪能した。
女ができて家を出ていった父が亡くなって、その父の葬式に行ったら、最初の女との間にできた腹違いの妹がいて、それを引き取ってという物語だった。後で明らかになるのだが、残された母は、男ができて3人娘を引き取ろうとしたが、叔母に反対されて家を出て北海道へ。
長女の幸は、看護師で父母がいない分、姉妹の面倒を見ることで、口うるさいしっかり者に。次女佳乃は、奔放な性格で、男をとっかえひっかえし、酒と男をモチベーションに生きている感じ。三女千佳は、甘えっ子で、おっとりしていて、あまり深く考えていない。山形から出てきた腹違いのすずは、幸に似てしっかりしている。
幸がすずを引き取ろうと思ったのは、すずが、父を愛情をもって看病していたこと、父とすずの好きな場所が、鎌倉を一望に見渡せる丘と酷似していたことを知り、父の優しさをすずの中に感じ取ったからだろう。
3人姉妹、親子だけあって、父や母の似た部分を持っている。長女幸は、妻と別れていない男性医師と不倫の愛を育んでいる。次女佳乃は、母に似て、ダメな男にばかり惚れてしまう。三女千佳は、父親に似て、釣りをしたいと思っている。父や母をダメな人と言いながら、自分たちの中にも、同じような部分があることを次第に自覚していく。すずは、母が死に父が再婚したことで継母の下で暮らし、甘えることでできず育ったのは、幸と同様。幸やすずがつらい立場に陥ったことを、今度は自分がしようとしていると感じる幸。
家族の性格的な遺伝を引き継ぐと共に、鎌倉の古ぼけた実家を引き受け、家族の伝統的な催しである梅酒づくりを引継いだり、残されていた浴衣を着たりする辺りは、家族で暮らすことの意味を象徴していた。
法事で母が帰郷したことで、3人姉妹とすず、母が、相手と向き合うと共に、自分の気持ちと向き合った後、幸は、「誰も悪くない、仕方がなかったのだ」と悟り物語は動き出す。自分のどうしようもなさと向き合って、人を許し自分を許し生きていく。
幸は、付き合っていた医師から米国行きを誘われるが断る。ダメだった父と同じ道を辿らずに、つまり自分中心な幸せを選択せず、残された者たちの幸せを考えて残る。佳乃は、海猫食堂の女主人が亡くなっていく時に仕事で関係し、地に足が着いた生き方を始める。千佳は、運動具店の店長を釣りに誘って一歩踏み出す。
すずが梅酒を飲んで、酔っぱらって母をなじるシーン、鎌倉を一望する丘に登って、幸とすずが叫ぶシーンなど、小津安二郎の映画のテイストに似た感じ。家族の一人一人の思いが紐解かれ、最後に感情を表出する所が似ていた。
桜は、死と再生の象徴として登場し、アジフライや生シラスなども受け継ぐものとして使われていた。すずが花火を見に行くシーン、4人で花火をするシーンは、華やかな帰結を象徴すると共に、複雑に感情が入り組んでいる様が変わりゆく様子を表しているかのように映った。
音楽では、海街を意識してか、ビスコンティの「ベニスに死す」のマーラー交響曲第5番のアダージェットに似た、海の上を漂って、光が煌めいているかのような音楽が美しかった。全体的には、美しさ、軽さ、煌めきを意識した感じで、海街に住む女たちにフィットした音楽だった。
一人一人のどこかダメな部分を意識しつつ、それを受け入れ、寄添う過程で、奥底に秘めた思いなどの美しさややるせなさを大切にし、家族の中の物や文化を引き継いでいこうというテーマ性を感じることができた。
このように丹念、繊細に日本的な家族における感情の機微や問題点を描けるのは、是枝監督だけではないかと思う。これを更にデフォルメしていくと、「万引き家族」「海よりまだ深く」「真実」になっていくように思える。
それぞれにちゃんと見せ場があるいい脚本だと思った。 この映画で広瀬すずの演技をはじめて見たが、 しっかりしたもんだと思った。 個人的には泣ける場面が2か所あった。
動画配信で映画「海街diary」を見た。
劇場公開日:2015年6月13日
2015年製作/126分/G/日本
配給:東宝、ギャガ
綾瀬はるか
長澤まさみ
夏帆
広瀬すず
大竹しのぶ
堤真一
加瀬亮
風吹ジュン
リリー・フランキー
鈴木亮平
坂口健太郎
キムラ緑子
樹木希林
・リボルバー・リリー(2023年8月11日)
・レジェンド&バタフライ(2023年1月)
・はい、泳げません(2022年)
最近の出演作品の興業成績と評価がイマイチ厳しい綾瀬はるかだが、
「海街diary」は大ヒットした作品だろう。
鎌倉に暮らす香田家3姉妹(綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。
葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すず(広瀬すず)と対面した。
4姉妹は一緒に鎌倉で暮らすことになる。
この4姉妹の生活を淡々と描く。
この映画には坂口健太郎から金を巻き上げる男意外、悪い人は登場しない。
みんないい人だ。
3姉妹の母親(大竹しのぶ)、
大叔母(樹木希林)
姉(綾瀬はるか)の不倫相手(堤真一)
海猫食堂の人たち(風吹ジュン、リリー・フランキー)
それぞれにちゃんと見せ場があるいい脚本だと思った。
この映画で広瀬すずの演技をはじめて見たが、
しっかりしたもんだと思った。
個人的には泣ける場面が2か所あった。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
こういうの好き
キャストが攻めてる 長澤綾瀬の2トップ時代があっただけに当人らも意...
キャストが攻めてる
長澤綾瀬の2トップ時代があっただけに当人らも意識してるだろうし
そこに綾瀬はもうチヤホヤされる役じゃなくしっかりとした大人の女性をあて、更に若手の可愛い子を入れてくるなんて、現場の空気結構しんどかったんじゃないのってそっちが何故か気になった
でもやっぱ長澤も綾瀬も夏帆もさすがで演じるのが上手い
是枝の凄さって適役を見つけられるのもすごいんじゃないかと思う
どっかちゃんとしてない登場人物らに自分を重ねたり共感できたりする所が見入ってしまうのかも
盛り上がりはないけどのんびりと観られた
日常
監督のしっかりとした視線が物語を宝物のように輝かせた。
テレビの録画‼️❓
不自然過ぎる程自然な演技の封印
昭和的雰囲気
綾瀬はるかの あの一言
異なる個性の女優達をそれぞれ見事に輝かせる是枝監督は凄い
是枝裕和 監督による2015年製作の日本映画。配給:東宝、ギャガ。
4人の姉妹愛というか、家族愛というか、大きな事件がある訳では無いが、何気ない日常を淡々と丁寧に描いていながらも、キラキラとした掛け替えのないものを感じさせる素晴らしい映画であった。
姉妹を演じた綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、個性が大きく異なるが、それぞれがとても魅力的であった。特に、是枝監督の演出力のなせる技か、16〜17歳の広瀬すずの演技が実にナチュラルで魅せられてしまった。サッカー・シーンもとても様になっていて感心させられた(サッカーのコーチを付けられて練習したらしい)。
そして,舞台となった鎌倉も海と山が共存し、姉妹が住む古い家や食堂を含めて、とても良い絵になっていた。何処か儚げな食堂のおばさん風吹ジュンも印象に残った。
こういう映画を脚本も兼ねて創ってくる是枝監督の才能に、あらためて感服・感動させられた。ホント良い監督だ。
監督是枝裕和、原作吉田秋生(漫画海街diary)、脚本是枝裕和、製作石原隆、 都築伸一郎 、市川南 、依田巽、エグゼクティブプロデューサー小川泰 、大村信、 上田太地、 小竹里美、プロデューサー松崎薫、 田口聖、アソシエイトプロデューサー西原恵。
撮影瀧本幹也、照明藤井稔恭、録音弦巻裕、美術三ツ松けいこ、装飾松尾文子、衣装デザイン伊藤佐智子、ヘアメイクデザイン勇見勝彦、編集是枝裕和、音楽菅野よう子、音響効果岡瀬晶彦、キャスティング田端利江、助監督兼重淳、 遠藤薫、スクリプター矢野千鳥、制作担当熊谷悠、ラインプロデューサー熊谷喜一。
綾瀬はるか香田幸、長澤まさみ香田佳乃、夏帆香田千佳、広瀬すず浅野すず、加瀬亮坂下美海、鈴木亮平井上泰之、池田貴史浜田三蔵、坂口健太郎藤井朋章、前田旺志郎尾崎風太、キムラ緑子高野日出子、樹木希林菊池史代、リリー・フランキー福田仙一、風吹ジュン二ノ宮さち子、堤真一椎名和也、大竹しのぶ佐々木都、中村優子すずの義母、清水一彰、平田薫、
野村麻純、関ファイト、三上紗弥、原扶貴子、野中隆光、斎藤加奈子、きむらゆき、安宅陽子、小倉一郎。
自然と不自然を行き来する演技・物語
観たかった映画だが、なぜか気が乗らずに5年以上もズルズル先延ばしにしてしまった作品。
主演女優4人とも好きな方たち。
話のテーマは「家族のリアル」と思う。
家庭の環境は違えども、誰が観ても共感する部分や考えさせられるところがあるはず。
嫌なところがありつつ、やっぱり家族としての繋がりがあって、愛し愛されることを望んでいる。
冒頭の「あれ」という言葉に始まり、登場人物の言動やクセを使いながら、家族のつながりがうまく表現されている。
血のつながりだけじゃなく、共に過ごした時間の中で似てくるのが家族と思う。
少し抜けた母を助けようとしっかりものを演じる長女、そんな長女に対抗するように感情的に行動する次女、そんな2人のバランスを取るように楽しく振る舞う三女。
そして、そこへ仲間入りするも心の内は明かせず後ろめたさを感じる四女。
みんなが、それぞれに胸の内に思いを抱えつつ、互いのことを考えている。
そういう心情が演技に織り交ぜられていて、「こういうところが家族だよな」と、ある種のあるあるを目の当たりにできる。
「家族ってこういうもんだよね」という理想的、物語的な「自然」と、「家族なのにそんなことないだろ」というぱっと見では反論してしまう「不自然」
ただ、それらが混ざったものが「家族のリアル」なんだと観た後に思う。
家族について、幸せについて、自分の中にある思いをふと気づかせてくれる作品。
サッカー経験がないというのが信じられない
私は女子サッカーのファンであるので、すずちゃんがサッカーやるシーンを見て思った「どっかのユースに入っていたのかな」って。そしたらサッカー経験ゼロだという。素晴らしい運動神経だ。もし本当にユースに入っていたら今頃日本代表だったに違いない。女子サッカー人気は今の100倍はあっただろう。
さて、映画のレビュー。この映画は20分で終わってしまっている。そこのところが一番良いシーンでその後はずっと蛇足のように感じた。それでもこの20分だけでも見る価値があるので3.5点とした。この20分、私は泣いてしまった。たったの20分でこれだけの感動を生み出せたのは役者の力もあるだろう、演出の影響力もあるだろう・・しかし何と言ってもその写真の美しさにあったと思う。この映画はフィルム写真で撮られていて写真がとても美しい。特に主人公たちの住む家の中の風景がとても美しい。このような美術的な美しさが深層心理に与える影響、感動につながる影響というものは計り知れないものがあると思う。そのフィルムの力によって最短で最高の感動シーンにたった20分でたどり着けた。
だから映画監督には映画をフィルムで撮ってほしい。それから写真ファンにも写真をフィルムで撮って欲しい。味わいが違うし。それに、写真は証拠性が命。AI画像が簡単に作れる現在、デジタル写真に証拠性はなくなりましたから。
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