「優しく美しい静かな感動を呼ぶ物語。」海街diary 星水松 愛菜さんの映画レビュー(感想・評価)
優しく美しい静かな感動を呼ぶ物語。
良い!予想をはるかに上回りました。
パッケージ裏のストーリーには、『母(大竹しのぶ)が現れてから徐々に姉妹の思いにズレが生じてきて…』みたいな感じのが書いてたから、姉妹間で殺伐とした雰囲気になったり、それこそ取っ組みあいのケンカとかしたりするのかな…と思って観賞していましたが、なくて良かったです。この四姉妹にはギスギスしたり泥臭いくだりは必要ないかなと。
レビューを見ると、そーいうのがないからリアルさに欠けるとかいうのがありましたが、私は断然こちらで良かったです。
長女:幸を演じる綾瀬はるかさんの母性と一家の柱(長女)としての芯の強さ。
次女:佳乃を演じる長澤まさみさんの色気と奔放さ。反発しながらも姉の事を慕ういじらしさ。
三女:千佳を演じる夏帆さんの二人の姉に振り回されながらも、真っ直ぐな素直さと天然ぶり。
三姉妹の妹となるすずを演じる広瀬すずさんの圧倒的存在感と透明感。自分の存在を肯定しきれない葛藤さ。
見事に四者四様、演じていたと思います。一年近く一緒に過ごしたということで本当に仲のいい姉妹に見えてほっこりしました。
そして、脇を固める風吹ジュンさん、リリィフランキーさん、大竹しのぶさん、堤真一さん、それぞれ良かったです。樹木希林さん?言わずもがなです。
確かに、広瀬すずさんのナチュラルな演技が堪らなくかわいいというのも見所ではありますが、私としては、綾瀬はるかさんと長澤まさみさんがツーショットで収まってる画づらの何と贅沢な事かと思う次第でした。
野球に例えると、3番のイチローが打席に入る前に4番松井とネクストバッターズサークル付近で少し言葉を交わすといった場面だろうか。(少し違うかな…)
好きなシーンは佳乃(長澤さん)が姉の幸(綾瀬さん)を出し抜いて風呂に入るんだけど、浴室にカマドウマが居て、悲鳴を上げて必死に姉に助けを求めるところ。キャラ的に妹の千佳(夏帆さん)に命令口調で「ギャーっ!千佳、何とかしなさいよ!」って言いそうなもんなのに、姉に助けを求めるというこのシーンで、お姉さんの事大好きなんだなっていうのがよく分かる。何かすごい微笑ましかった。
ただ、不思議な事に、原作の漫画の方は見たいと思わないのは何故だろう。
映画の方は心が荒んだときにまた観ます。