「原作のえぐいところを、カットするか、あまり触れないようにしているけど、相続争いのところをサラッと流すなら、カットしてほしかった。」海街diary Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
原作のえぐいところを、カットするか、あまり触れないようにしているけど、相続争いのところをサラッと流すなら、カットしてほしかった。
ミーハーなので、映画化されると聞くと、原作を読んでみたりする。
この映画の原作も読んでみた。
マンガ大賞受賞、映画化決定などと聞くと、面白いのだろうと予想していた。
面白かったのは古都鎌倉の風景と、主人公の四姉妹とその周辺の人々の生活。(これは外国の人にはうけるだろうと思った。)
でも、正直、大部分面白くなかったし、後味が悪く、いやな想いをした。
どこが面白くなかったかというと、女性の下ネタみたいに、そのものズバリのところ。
原作はかなりえぐいです。
後味の悪さは「闇金ウシジマくん」以上です。
こんなの実写で見たくないと思ったけど、原作を全巻読んでしまった行きがかり上、見にいきました。
見てみたら、原作のえぐいところはカットするかぼやかして、原作の面白いところだけとりあげて、きれいなところは原作よりきれいに撮っていた。
でもその分、ストーリーや設定がわかりづらくなっていて、よくわからない芸術映画のようになっている。
気になったのは、メインキャラクターの多田裕也(病気で片足を切断したイケメンキャプテン)がいないところ。
最初の相続放棄のところも微妙に変えてぼやかし、最初に出てくる佳乃の恋人藤井朋章の正体もスルー、姉妹の母親のえぐいセリフもカット。
この辺まではまだ個人的には許容範囲で、えぐいとこがなくなった分、いいかもしれないと思っていた。
でも、海猫食堂のおばちゃんの話、サラッと流しているけど、これはダメだと思う。
さらっと流すのなら全部カットしてほしかった。
原作は、もっと救いようがないようなエピソードで、正直面白くないし、おかしいと思ったけれども、よくこのような面白くない題材を、よく人気マンガにとりあげたと思い、納得した。
でもこの映画のように表現されると、正直抵抗がある。
少額の遺産争いは、世間が思っている以上に恐ろしいものです。
大多数の人は経験がなく、自分には相続で争うほどの財産などないから、関係ないと思っている人がほとんどだと思うけど、実は少額の財産の方がもめるし、争いになると怖いのです。
なぜかというと、少額だから弁護士を雇えない(交通事故の示談交渉を当事者同士でやるようなことになります)し、相続は法律などあってなきが如し、どこまでやっても人でも殺さない限り刑務所に入ることはないし、なんでもありのやった者勝ち、映画に例えれば「ライアーゲーム」なのです。
この映画では、銀行員(佳乃達)が相談に乗ることになっているけど、そんなことまずないし、相手(弟)と交渉することはできません。
この場合、おばちゃんは法律など無視し、根性を決めてとぼけるべきだと思います。
そしてお金は一切渡さない、書類関係は絶対に見せない、渡さない、でいいと思います。
裁判になり判決が出ても、裁判所が差押えて、競売にかけ、分けてくれるわけではないので、知らん顔でいいと思います。
最悪法定分を払えばいいだけなので、ダメで元々。
多少めんどうくさいけど、その間食堂の営業はできるし、ごね得。
そのうち相手(弟)は損害が拡大し、どうしようもなくなり、諦めると思います。
少額の相続争いでは、けっこういやな想いをしてトラウマを持っている人も多いのだから、そういう人も納得できるような表現をしてほしかった。