「ノリノリ。」シェフ 三ツ星フードトラック始めました 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
ノリノリ。
「シェフ 三ツ星フードトラックはじめました」はじめました。見ました。
アイアンマンでお馴染みジョンファブローすごい。
話自体はよくあるサクセスストーリー且つ、息子との関係修復。そんな変哲の無いストーリーを楽しく見せるための陽気な音楽、ぶっ飛んだ主人公、そしてそいつが作る料理。どれも単純に楽しいんですよ。特に料理。
料理を扱った映画なんて大体、料理はプロっぽく、そして綺麗に見せている。でも今作の料理は、それに加えて本当に美味しそうに見える。一番そそられたのが、キューバサンドではなくてチーズサンドですよねー。見た目も美味しそうだし、齧った時の音がたまらない!そしてあの場面は息子への朝食か何かでしょう。言わば軽食までも本気で作る彼の料理に対する姿勢と、プライドをさらっと見せている。あとはスカーレットヨハンソンにパスタを作る場面。パスタを作る過程で、オリーブオイルにニンニクの香りを乗せる事が大切。そのショットをスゲー長々と見せるんですよ。ジュンジュワーっと美味そうな音はもちろん、ニンニクの香りがこちらまで臭ってきそうな感覚。たまらない。一晩焼いた豚肉ですか、あれも美味そうだったー。
あとはツイート。ツイートの画面が現れて、文章がカタカタと打ち込まれる演出は最近本当に多く目にする。これ、すごく分かりやすくていいと思う。本作ももちろん、使い方がいいと感じました。
ぶっちゃけ、お話の細かいところは全く気にならなかった。それもやっぱり料理の力。次はどんな料理を作るんだろうとワクワクするんですよ。それだけで料理を扱った映画として満点の出来だと思う。
ちなみに若い頃に自分も飲食業を齧った身です。中盤手前くらいですかね、酷評されたブロガーに食ってかかる場面。あの一方的に熱い攻め自体も痺れたし、何よりあそこでシェフが浴びせる言葉の数々が、かなり心に響いた。特に「みんな必死にやってるんだ!シェフも!ウエイターも!」みたいなセリフ。これは全世界の飲食業に従事する人間の心情だと思う。飲酒業に限らずすべての職業、特に目の前のお客さんにサービスを提供する職業の人の心情を掴む一言ですよね。
もう思い出すだけでヨダレが...と言った具合にとにかく料理映画としても素晴らしく、人間ドラマとしても頷ける作品です。