「はったりサイエンスの開幕だ!!!!」LUCY ルーシー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
はったりサイエンスの開幕だ!!!!
清々しい!清々しいほどのハッタリ・サイエンス・フィクション!
いやあ、ここまで振り切っちゃうとね、もう気持ちがいいですよ。哲学的思想とか素養とは無縁の監督が生命の深淵を描くとこうなるのか!というね。実際のリュック・ベッソンを知らんでこんな失礼ぶっこいた発言しとりますが。
で。これ、昔からよく使われてる創作のモチーフですよね。「人間は脳みそを100%使い切ってない。もし使うことが可能ならば……」てやつです。それがこのリュック・ベッソン御大の手に掛かれば、ほら!この通り!ここまではっちゃけるよ!という映画でございまして。ヒトの為せる新たな可能性!開かれていく人類の夜明け!的な。的な。的な展開が、もう。もうね。驚愕のエピソードが次々と発動する訳ですよ。発動しまくりです。
リュック・ベッソンの普段の悪い癖(?)というのかな、大雑把感というか。塩コショウで味付けました的な大味感というか。がね、今回は確かにヘンテコリンな方向へは転がるんですけども、またこれが絶妙な按配の挙動を見せてくれちゃってて、なかなか凡百な監督じゃあ撮ることの出来ないワン・アンド・オンリーな作品に仕上がっとるんですよ(褒めてますよ、褒めてます)。
しかしどこを以ってワン・アンド・オンリーなのか?と問われれば(観てもらうのが一番なんですけども)、そこはほらベッソンですから。SFのワンモチーフだけで大人しくできる訳がないじゃないですか。
まあ、やりたいこと全部やっちゃうぜ!ということですね。
『アクションもやりたい!カークラッシュもやりたい!銃撃戦もやりたい!韓国俳優チェ・ミンシクを使ってみたい!ETもやりたい!2001年宇宙の旅もやりたい!スカーレット・ヨハンソンを(或る意味での)スターチャイルドにしたい!やりたいことのっけ丼』なんですよね。
これを恥ずかしげもなくやれちゃうのはベッソンだけでしょう。いや本当に。
今回はPV的な演出にも挑戦していて、昨今の映像作家的というか、枯れるつもりが全然ないんですな、この人は。ここまで来たらベッソン節の完成系を拝んでみたいですね。
どこまで進化(退化?)して行くんでしょうか。楽しみな御仁です。