「攻殻機動隊を彷彿とさせるが…」LUCY ルーシー REXさんの映画レビュー(感想・評価)
攻殻機動隊を彷彿とさせるが…
機待値が高すぎたのか、クライマックスに近づくにつれ少し残念な気持ちに。 リュック・ベッソンの作品には、アイデアには惹かれるけれど、結局中身があまり練られていないなと感じるものが多い。
構想10年かけた作品で、しかも様々な科学者にリサーチしたとのことなので、これはこれでベッソンなりの思い描いた結末なのだと思うのだけど、私は肉体ありきで勝負してほしかった。
脳というものがいくら覚醒しようと、肉体という器自体をなくして、意思を持つ電気パルスのような存在にはならないと思う( 機械などにつながれた状態での、脳情報のアウトプットなら話は別だが)。
脳のDNAに刻み込まれた「記憶」に全てアクセスできる(思い出すことができる)という事象は起こり得ると思うし、また思考の信号を読み取るテレパスとか、超人的な肉体の運動能力を駆使するなど、の範囲であれば、まだ納得はできる。
だけど素粒子レベルに分解されても意思を持つという設定はちょっと荒唐無稽にすぎて、興ざめしてしまった。
アベンジャーズのブラック・ウィドーよろしく、一見か弱い女性が悪者をバタバタとなぎ倒すという、胸踊るアクションを期待しすぎたか。十八番のカーチェイスはさすがの一言だが。
警官とルーシーの絡みも中途半端で彼女を理解する過程が薄く、観客を代弁すべくして登場した割には、感情移入に訴える描写が弱い。
「等身大の」若い女性が人類の起源を紐解く記憶を呼び覚ます…人類の起源ルーシーにたどり着く描写はミステリアスで良いのだが、そこからがやり過ぎ。
スカヨハが、アメコミでもない、オカルトでもない、新たな「超人」の独特な神秘さを醸し出していただけに、なおさら惜しい。