劇場公開日 2015年10月3日

「創作魂よ、永遠なれ!」バクマン。 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0創作魂よ、永遠なれ!

2020年12月4日
PCから投稿

原作は未読である。
ひと昔前、高校生文学賞作家が話題になったが、こちらは現役高校生で週刊漫画誌の最高峰、ジャンプの連載を目指す物語だ。
まず、架空の出版社や雑誌でなく、実在するところとリンクしている設定ゆえの説得力がハンパなかった。職業モノの塩梅も、良い加減で挟み込まれ、知見も広がり興味深い。
意図的にだろうが(原作もか?)、主人公らの家族が一切、顔を出さない演出方法は大正解だろう。非現実的だが、毎週、出版されている漫画がどう生み出されているか、その舞台裏にのみ集中できるため熱意に、臨場感に、手に汗握った。
賛否が分かれるようだが、座ったままの執筆バトルをあのような心理描写バトルへ変換、映像化した発想は好みである。その他、映像も全体的にスタイリッシュな傾向にあり、インドア、文系ジャンルをスポ魂仕立てにしていて、職業のハードさがよく表現されていたと思う。

表層、構造的には競争だが、参入することを決めた「もっと面白いものを」という創作魂がとにかく熱い。
夢と希望と、野望と地獄と。
ワンセットで蜜の味。
主役お二人の好演も、ワキの個性も、全編中だるみすることのなかった要因と推したい。

N.river