「最高!」バクマン。 ごいんきょさんの映画レビュー(感想・評価)
最高!
愛読書を聞かれて、「まんが道」と答えて鼻で笑われたことがある。40年ほど前のことだ。まんがはすでに世間では認知されていて、電車の中でサラリーマンがジャンプを読んでいることが珍しくない時代だった。それでもまんがを愛読書に上げるには不謹慎だったのか、まだまだ子どもの読物という認識しかなかったのか。それはさておき、当時若者だった私には「まんが道」は大きな夢と勇気をくれる本だった。
そして、現代版、ジャンプ版「まんが道」とも言える「バクマン。」だ。いろんな事情から25年ほど前を境に漫画雑誌の購読を辞めたので、残念ながら原作のまんがは読んでいない。というか、もともと私はジャンプ派ではないので、漫画雑誌を読み続けていたとしてもおそらく何度か目にする程度で終わっていたかもしれない。そんなジャンプ派ではない私でも映画の中に引き込まれるすごい力を持った作品だった。これこそがジャンプの力なのかもしれない。
同じ高校で偶然に出会った佐藤健と神木隆之介がふたりでジャンプの漫画家をめざすという話だが、「桐島、部活やめるってよ」で高校生を演じた神木隆之介が相変わらず元気な高校生を演じていてすごくいい。敵役の天才高校生漫画家を染谷将太。彼も「みんな!エスパーだよ!」に続いての高校生役だ。今回は妖演! そして、主演の佐藤健。これからの日本映画をしょっていくスターの一人だが、スターの貫禄十分だ。他の出演者たちもすごく良くて、映画の流れを止めることがない。
監督は大根仁。「まほろ駅前番外地」シリーズや、「リバーズエッジ大川端探偵社」シリーズの深夜枠テレビで楽しませてもらっている。この映画は、私の「好き」の要素が詰まっていて、最初からノリノリで見ていたので評価が甘くなっているかもしれないが、本当に映画を堪能したといえるいい映画だった。
40年前「まんが道」に感動した私は、結局何者にもならなかったが、何者にもなれる未来を持った若い人たちにはぜひ見てほしい映画だ。