「新宿クローズ。」新宿スワン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
新宿クローズ。
原作は全く知らなかったが、観ていて園子温ぽくないなぁ~と
思っていたらそれもそのはず、今回の監督は演出のみだった。
脚本もよその人(爆)。グダグダ感もはっちゃけ感もなく、
全く普通で、いつもより、かなーり観易かった!!(誉めてます)
三池作品を観ているようなスピード感があり、カメラワークも
面白かった。歌舞伎町を表から裏まで走り抜けたような映像美。
疾走感と躍動感は俳優たちにも活かされ(あれ?クローズZERO?)
と思ってしまうほど被りすぎ。従って色男今男旬男いらっしゃい
さぁお祭りだ!的な派手さと面白さに溢れている作品。
それにしても綾野剛の成りきりぶりが凄い。このヒトこんな演技
してたっけ?と思うほど、役に成りきって完成度もハンパなし。
かなり単純で人が良く皆から好かれるタイプのイイ奴なんだけど、
何でその彼が新宿でスカウトマンになっちゃうの?という過去が
途中から参戦する山田くん(南秀吉)によって段々と分かってくる。
彼が救い出す女達も可愛く薄幸だけど、金欲しさに風俗で働こう
という安易な発想に早死にしちゃうから!と脅したくなってくる。
実際に精神を病んでしまう子も出てくるが、あれも日常なのだろう
と思う。結局は商売で成り立っている世界なのだから、幸せに~
なんてよくぬかすわと龍彦がどんな優しい人間でも共感はできない。
まぁ男側から見た世界観はよく出ているな、と思ったけど…。
綾野VS山田のシーンはやっぱりクローズを連想せずにはいられない。
伊勢谷、金子、深水(一押し!)、村上、豊原、吉田のコワモテ揃いに、
あらアナタまたこんな役やっちゃって^^;と思わされたのが安田くん。
歌舞伎町の空間を切り取ったような光景すべてが物語と巧く絡み、
裏階段の描写はおそらくそうなるとは分かっていてもドキドキした。
(地元駅周辺にも大勢いますが、しっかりオバサンをスルーしますよ)