劇場公開日 2015年7月10日

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「もうI'll be backしないで…」ターミネーター:新起動 ジェニシス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5もうI'll be backしないで…

2015年7月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

不滅の人気を誇るSFアクション、待望の新作!
しかも、シリーズの顔、シュワちゃんが12年振りにカムバック!
話題は尽きず、殊更日本では「マッドマックス」「アベンジャーズ」「ジュラシック・ワールド」より注目度は高いだろう。
が、世間の盛り上がりとは裏腹に、自分個人の盛り上がりはそれほどでもなかった。
別にアメリカで興行・批評共に不発だから便乗して言ってる訳ではない。
解禁されたストーリーや予告編を見た時から、何だかなぁ…と感じていた。
そしてそれは嫌なくらい的中した。

今回は“新起動”、つまりリブート。
サラを守る為カイルが未来から過去に送り込まれる「1」風に始まって…と思いきや、話は意外な方向へ展開していく。
これが頂けない。
かつて「SW 特別編」が公開された時、ファンは神聖なバイブルであるオリジナルが汚された、と猛批判したが、それは本作にも言えないだろうか。
傑作である「1」をこねくり回し、さらに「2」のT1000まで無理矢理ねじ込み…シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンでもないのに何故こんな暴挙が出来る?
リブートとは、オリジナルにオマージュを捧げつつ、また新たな物語を再生させ、発展させる事。
何故「ターミネーター」は先に進めない?
振り出しに戻し、「1」と「2」が築き上げた世界観を滅茶苦茶にし、これで新起動とはどの口が言う?
そう考えると、続編でもありリブートでもあり新作でもあった「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は神業だったなぁ、と。

未来から送り込まれた現代で、未来の命運を懸けて戦うというシンプルながらもスリルある設定が魅力だった。
今回は捻りを加えようとして裏目に出た。
未来から過去に来たが、そこは別次元の過去で、未来が変わったから…と、話は分かるがややこしい。
青年期・中年期・老年期のシュワ・ターミネーターの登場は自虐パロディにしか思えず。
シュワちゃんのシリーズ復帰は確かに今回の目玉だが、シリーズもいつまでもシュワちゃんに頼っているとシリーズの本当の新発展は望めず、またシュワちゃんにとっても過去の栄光に未だにしがみついてて見てて痛々しい。スタローンは新たな人気シリーズを生み出しているというのに。
新キャストは誰も魅力薄。エミリア・クラークは可愛いが、マイケル・ビーンは二枚目だったと改めて思った。
ジョンが…って、これはシリーズへの冒涜ではないか。この設定も酷いが、完全ネタバレの予告編も酷い。

一応夏のハリウッド大作。
VFXやアクションは迫力あり見応えある故、さすがに最低点ではないが…

見た人の満足度が意外に高い中での辛辣な意見で周囲を敵に回しそうだが、本当にこれで良かったのか。
「3」も「4」も今回も無かった事にして、「2」で有終の美のままにして欲しかった。
出来ればもうI'll be backしないで欲しい。
それもこれも「ターミネーター」が好きだから。

近大