劇場公開日 2015年7月10日

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「15年越しの真・『 ターミネーター3』」ターミネーター:新起動 ジェニシス 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.015年越しの真・『 ターミネーター3』

2015年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

これだけの話題作なので今さら遅いかもしれないが……本作の
第2弾予告編は絶対に観ない方が良い(国内外含めて)。
いっそCMや広告も意識からシャットアウトしておいた方が良い。
映画の中で一番の驚きであるアイツの正体を全力で
バラすってどういう事さ(『T2』の予告編第1弾なんて、
シュワちゃんが悪役に見えるよう編集されてたくらいなのに……)。
最近の予告編って見せ過ぎだと思いますよホント。
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という訳で僕は予告編をチェックして後悔したクチだが……
それでも面白かった!

冒頭から、カイルとジョン・コナーの出会い、
そしてこれまで口頭でしか語られなかった
スカイネットとの最終戦争→カイル転送までの流れを
キッチリ見せてくれる所からワクワク。
そこからは1,2作目の設定をミックスさせ、
ニヤリとしてしまうシーンを盛り込みつつもオリジナルな展開。
カイルVS若シュワのリベンジマッチ(?)とか、
T-1000(液体金属のアイツ)の新たな撃退方法とか。

そこからの展開は完全新規。
2016年の映画らしい新たな敵・新たな“スカイネット”の登場!
(開発者はまたダイソンさん(笑)。まさか『T2』の人の息子かね)

それについて詳しく書くのは避けるとして、
“スカイネット”側は“スカイネット”側で、
自分達が消される(殺される)事を恐れていたり、
サラを守るというカイルの想いと同様、
敵ターミネーターも“スカイネット”を守りたいと考えている、
というどこか人間臭い描写が新鮮だった。
MRIの登場するシーンでカイルに投げ掛ける言葉にも、
マシンらしくない想いが滲んでいるように感じる。
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というか今回はドラマ面も好き。

マシンであるはずの老T-800が、サラに対して
“保護対象”以上の感情を抱いているように思える所、
一方のサラも、孤独な人生で唯一の味方である彼を
父親のように慕っている所が泣ける。
サラの写真や絵を何年もとっていたり、好きな音楽を用意してあげたり、
自分の身体にいよいよ限界がきている事を悟られないよう隠したり。
笑顔はドヘタクソだが(笑) 、ホントに娘想いの優しい父のよう。

カイルも頑ななサラに振り回されつつ大健闘。
任務が根底から崩れてしまっても、サラの為にひたすら
身体を張り、彼女の背負った重荷を取り除こうとする
優しい姿がカッコ良かった。
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という訳で、ストーリーの込み入り具合とか、
新たな敵のアイデアとか、ドラマ面も好きなのだが、
あえて不満点を挙げるなら……アクション演出。

流石に1,2作目のJ・キャメロンの演出と比べるのは
酷だが、アクションシーンはやや淡白な印象だ。
車などの爆発炎上シーンはCGではなくやはり本物の火薬を
使ってほしかったし、カーチェイスももっとしつこく
ド派手にブッ壊しながらやってくれても良かった。

最近のハリウッドアクション映画全体で感じるが、
アクションがコンパクトにまとまりすぎてる気がする。
本作のアクションは近年で観ればかなりド派手で
ボリュームもある方なのだけど、′90年代アクションの
“本物感”というか骨太さに欠ける点は残念。
これってやっぱCGが発達した功罪なんだろうけどね。
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だが、今回不満点といえる不満点はそれくらいだ。
(あとはチョイ役で終わったJ・K・シモンズくらいかね)

もはや伝説と化した1,2作目を超えられたとは思えないが、
大きすぎる期待に応え切れなかった『T3』『T4』
に比べ、15年越しの3作目を名乗るに相応しい
ストーリーとスケールを持った作品だと思います。

大満足の4.0判定で!

<2015.07.11鑑賞>

浮遊きびなご