「武勇伝ではない戦争映画」フューリー KIKUCHIYOさんの映画レビュー(感想・評価)
武勇伝ではない戦争映画
5人の戦車乗りの孤独な戦いだけが描かれる。戦争経験はないから、観客は自ずと新兵のノーマンに感情移入していく。
はじめは、人を殺すことの不条理を味わうが、親しい人を殺されるうちに、その不条理さから、ドイツ兵を撃ち殺すスイッチが入る。人とは、そういうものだと思う。殺されていく米兵も独兵も、数が増えてくると、殺人に対する抑制が麻痺してくる。
只々、恐怖にかられた狂気だけが一人歩きする。そんな、極限の地獄絵図が展開する。
ラスト、長年共にしたFURYへの執着心を越えて、妙な愛国心のようなものが見え隠れして、わずかな違和感がある。果たして彼らは、戦争に勝ったのか?それとも戦車を守ったのか?
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