「2014年最高のアクション映画」フューリー ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
2014年最高のアクション映画
アメコミの実写化やSF映画が増えている今、一発の弾丸が命を奪ってしまう恐怖感や確実に敵を殺さねばならないという緊張感に満ちたアクション映画は極めて少ない。その意味において、本作は久々に真に見応えのあるアクション映画である。
戦争映画をアクション映画と捉えるのはしばしば抵抗がある。しかし、この作品は戦場で生きること=人を殺さねばならないこと、という理不尽さを過度に劇的になりすぎず、且つ感傷的にもなりすぎない絶妙な匙加減で描き、戦場で闘うことに説得力をもたらせた稀な作品である。
メインとなる5人の男達を人間臭く描いているのもまた良い。仲間に妬みや侮蔑という感情を抱きつつも、いざ戦闘となれば戦車に乗り込み、戦闘指揮、操縦、装填、砲撃と分担作業をこなすことで互いの命を守り合っていく。狭い戦車の中で繰り広げられるこの連係プレーは戦場での見事な人間ドラマを生み出している。とりわけ中盤のティーガー戦車との一騎打ちは戦車戦ならではの重厚感のある戦闘シーンには思わず力が入ってしまう。
勝つか負けるかの緊張感が始終物語を包むものの、決して痛快さや爽快感はない。タイトルにもなっている“フューリー”とは主人公たちが乗り込む戦車の名前のこと。ラストに映し出されるフューリー号の姿こそ本作の全てを物語っている。
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