「死者だけが戦争の終わりを見た…。」フューリー harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
死者だけが戦争の終わりを見た…。
アメリカは第二次世界大戦を正しい戦争と位置付けていると言う。
これがアメリカの言う正しい戦争なのか?
そんな疑問を抱かずにはいられなかった。
何もかも悪いのはドイツ軍(日本も同盟国だが)にしておけば物語は成立するし、作る側からすればこんな重宝な悪役はないだろう。
確かにナチスの行いは最悪だ。
しかしその怪物を退治するために自らも怪物になってしまったアメリカがいる。
きっとこれが戦争なのだ。
正義と悪はコインの裏表なのだ…。
本作でもデビッド・エアー監督らしい臨場感をタップリ感じられる。
戦場の過酷さ、残酷さ、絶望感、不条理、平常心ではいられない様子も描かれている。
とても見応えのある良い映画だと思う。
出番が少ないのは残念だったが、本物のタイガー戦車も出てくる。
戦争には大義があったとしても、戦場に、特に前線にあるのは生々しい殺し合でしかないのだろう。
本作を観終えて、自分も戦地から帰ってきたような気持ちになった。
英雄とか言われたって嬉しくも無いだろうし、英雄なんかでいられるわけがない…。
任務とは言え、地獄を見たのだから…。
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