「ネタバレ有注意。非常に惜しい作品」フューリー mazuruさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレ有注意。非常に惜しい作品
戦争映画好きなので公開初日に行ってきました。
結論から言うと非常に勿体ない作品です。
この作品を締めくくる後半部分、対戦車地雷で動けなくなったシャーマンが300人のSS部隊に囲まれるのですが
そこから急にリアリティ感が(自分の中では)落ちてしまいます。
手榴弾を投げ損ねて腹で抱えて爆死するゴルド然り、パンツァーファウストで装甲ごと腹を打ち抜かれて死ぬクーンアス然り、戦車内に手榴弾を2本投げ込まれて死ぬウォーダディ然りです。
どれもそれぞれの兵士の体の半分は肉塊になっていてもおかしくない訳ですが、そうは描かれてませんでした。
作品最初から非情に無惨に残酷に兵士が死んでいきます。
元の副操縦士は戦車内に顔が吹き飛んだ残骸すらあるのです。
戦争は非情で戦闘は残酷でウォーダディもそれをノーマンに説くのですが
他の一般兵はMG42や機銃で顔や足が吹き飛び、砕け散る無残なシーンとの対象でどうしても彼等の死に方が陳腐に見えてしまうのです。
使命感や勇気を持ってしてもどうにもならない、やっぱり戦争は残酷なのだ、それを最後まで描ききって欲しかった。
だからこそ任務や仲間の為に「死に方」を選んでやりきって死んでいった彼等は凄い兵士なのだと思えるのです。
しかし戦闘シーンは圧巻でした。最初の対戦車砲戦、市街戦、ティーガー戦
砲弾が車体をかすめる音、装甲をぶち抜く音、装甲が砲弾を弾きギュウウウウンという反射音
その度に劇場のスピーカーは震え、その振動が体に伝わってその戦場に居るようでした。
シャーマンの白燐弾のシーンとMG42を仲間の肩に担がせて撃つドイツ兵のシーン、ノーマンが最後空挺部隊に見つけられて衛生兵が話しかけるシーンも印象的でした。
観るなら劇場です。劇場で是非戦争の残酷さ、砲弾の音や戦車内の雰囲気(男が五人乗り込む暑苦しい雰囲気) 砲手バイブルの絶頂射撃、ノーマンの成長を是非体験してください。
プライベートライアン以降、第二次世界大戦物を劇場で観る機会は減ってます。
お金を払って損はないと思っています。