「ドイツ製戦車の迫力と強度、ブラッド・ピット隊長率いる戦車部隊壊滅の戦争の過酷さ」フューリー Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ドイツ製戦車の迫力と強度、ブラッド・ピット隊長率いる戦車部隊壊滅の戦争の過酷さ
デビッド・エアー 監督による2014年製作(135分)のアメリカ映画。
原題:Fury、配給:KADOKAWA
こういう軍隊ものでの、舞隊内での対立、共感、和解、一体感の形成という展開は、米国映画は本当にうまいなあと、本映画でも改めて感心させられた。
戦車部隊長のドン・コリアン(ブラッド・ピット)のキャラクターも魅力的。戦争で闘い続け生き残るためにはとても頼りになるが、ナチスを徹底的に憎み、人道主義者とは正反対で、巻き添え的な市民殺人は平気で、敵兵が白旗を挙げても尚殺したがる狂気じみた性格設定が、何よりも戦争ものらしくてgoodと感じた。途中で、髭を剃って身綺麗となるのも、スター俳優らしく効果的で、製作に直接関わっているだけあるかも。
そしてやはり戦車、何台かのM4シャーマン中戦車のみならず、ドイツのティーガーI重戦車の登場が何とも嬉しい。英国の博物館から持ち出したとも聞くが、子供ながらカッコ良くて夢中になって作って確かマブチモーターで動かしたプラモデルのキングタイガー(ティーガーII)戦車を思い出した。映画の中でも、前方からの圧倒的な強度が描かれていて大満足。
タイプライター打ちであったという若者ローガン・ラーマンが、戦争の極限的状況の中で容赦無い射撃家として変化していくのも秀逸。若いドイツ娘の家で楽譜を見つけてピアノ曲( Max Reger 1873-1916が作曲のMaria Wiegenliedマリアの子守唄)を弾くのが、生まれ育ちの良さを想像させて上手い。美しいドイツ娘アリシア・フォン・リットベルクはピアノに合わせて歌を唄い、ベッドインとなる。その彼女が、あっさりと航空機爆撃で死んでしまうのが、戦争の酷さを饒舌に語っていた。
最後、隊長も含め部隊員全滅の中、戦車の中から下へ抜け出し、自身に土も被せ、上手く隠れただ1人ローガン・ラーマン生き残るラストも、米国戦争映画お得意の英雄的な活躍というよりは、戦争というものの無意味さや過酷さ、壮絶さを印象に残し、好感を覚えた。
監督デビッド・エアー、製作デビッド・エアー 、ビル・ブロック、 イーサン・スミス ジョン・レッシャー、製作総指揮ブラッド・ピット 、サーシャ・シャピロ 、アントン・レッシン、 アレックス・オット、 ベンジャミン・ワイスブレン。
脚本デビッド・エアー、撮影ロマン・バシャノフ、美術アンドリュー・メンジース、衣装
オーウェン・ソーントン、編集ドディ・ドーン、音楽スティーブン・プライス。
出演
ブラッド・ピットドン・コリアー(ウォーダディー)、シャイア・ラブーフボイド・スワン(バイブル)、ローガン・ラーマンノーマン・エリソン、マイケル・ペーニャトリニ・ガルシア(ゴルド)、ジョン・バーンサルグレイディ・トラビス(クーンアス)、ジェイソン・アイザックスワゴナー大尉、スコット・イーストウッドマイルス軍曹、アナマリア・マリンカイルマ、アリシア・フォン・リットベルクエマ、ジム・パラック、ケビン・バンス、ゼイビア・サミュエル。