イヴ・サンローランのレビュー・感想・評価
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危ういけど確かな関係
サンローランについては若くしてディオールの後継者に抜擢されたここと、モンドリアンルックくらいしか知らなかった。
アルジェリア生まれだったこと、アルジェリア戦争の際には徴兵されたこととか、そしてその際にすぐ軍の病院に送られ、それが原因となりディオールに解雇されて独立したことなどを知った。
その彼を支えていたのがピエール。この2人、ビジネスパートナーでもあり恋人でもある。危うい部分もありながら、確かな信頼関係がある。
行動なんかは破滅的な部分もあるのだけれど、それでも不快にならずに観ることが出来た。
メインの2人、どちらもコメディ・フランセーズだったとは。これぞ2人の実力だろうか。
イヴ・サンローランに興味が無い人には、ちょっとキツイかな…
『プラダを着た悪魔』のようなファッションを題材にした痛快ドラマを期待していたので、ちょっと肩透かしをくらったというか… ハッキリ言って、感情移入のできない苦痛な作品でした。
序盤のディオール社のデザイナー抜擢!からの転落人生、からの再復活・躍進!といったあたりはドラマ性があり、として楽しかったのですが、その背景にあるイヴの恋物語が、兎に角ウザイ!
同性愛を否定するわけではないけれど、それをネチネチ見せられても興味が無い私には苦痛でしかない。更に、イヴには信頼できるパートナーがいるにも関わらず、別の恋に走っては、振り回されて自分をダメにして… 何やってんだよ!!って感じ。同情する気にもなれない。
軽妙なジャズの多用(カッコイイ!)や、衣装のエレガントさ等はとてもよく、その辺は大変満足だったのですが…
趣味に合わない映画でした。残念!
彼氏に支えられた天才
Yvesの内気で神経質そうな繊細さが上手く演じられていました。時々中身は女の子なのかなと思うくらいでした。
彼の儚げな美しさと才能に惹かれ、常に彼を目で追ってしまうかのようなパートナーPierreの視線からは、ある時は見守るように、ある時は不安げに、ある時はどうにもならない気持ちを訴えるかのようで、複雑な愛情が伝わってきました。独占欲と保護欲が混在しているようでしたが、こんなに想ってくれる人が公私共にずっと側で支えていてくれたからこそ、天才は充分に力を発揮でき成功したのですね。
酒に薬に男に溺れていくYves。
生涯の男と愛人は別…。
お国柄なのか、男女関係なく入り乱れる奔放な恋愛は大変ですな(^_^;)。
徐々に規模が大きくなるコレクション。
最後のランウェイは本当に美しいです。
ファッションとは人間が身に付けられる芸術なのだと改めて思いました。
彼に寄り添った作品
伝記としてその人を世に伝える時功績だけでは伝わるものが浅くなる。
こうしてイヴサンローランの人間関係、周りの環境取り巻きを映像として伝えることで見る私たちは彼に共感し同情しまた哀れみイヴサンローランのことを多少は深く知れたような気になる。
主役のピエールニキの人選は勿論イヴサンローランのビジネスパートナーであり恋人であるピエールヴェルジェの俳優にギヨームガリエンヌを採用したのはとてもいい選択だったと思う。
彼のひたむきさ誠実さ、真面目でイヴのことを誰よりも想い支える存在。演じ方もそうだが彼の人格が画面を通して真っ直ぐに伝わってきた。
互いに裏切られても2人は離れようとはしなかった。したのかもしれないが少なくともこの映画の中では描かれていない。どんなに衝突しようとも生涯の男として互いを認め愛し合いお互いを手離そうとはしない。
魂の伴侶とはこういうことだろうか。
舞台の袖口でショーを見守るピエール、
それが彼の立ち位置であり、彼のイヴに対する忠誠でありそれを彼は最後まで貫き通した。
天才故の苦悩、そして孤独があるが
支えてくれる存在とはかくも大きいものなのかと
この映画を見て思った。
彼はファッションで自分を表現し、苦しみながら成功の道を進んだ。
そんな彼を羨ましく思う。
デザイナーもの
デザイナーものは単純に、衣装が楽しみなので観るのが好き。
この映画の話が面白いかと言われるとそうでもない…。
でも、イヴ・サンローランの人となりが分かった。
彼の「彼を愛してる。でも生涯の男は君だ」(うろ覚え)という台詞は狡いな〜と思いました。
男の嫉妬って怖い ね!
富がありすぎて,自由奔放な生活ってのも怖いですね。60-70年代って、酒とドラックは当たり前って時代だったみたいだし、どういう業界か見てみたかったけど、下らない事に金を使うなら未来のデザイナ-を育てる学校とか設立して、社会に還元してほしいですね。
それにしても、男の嫉妬は醜いですな。狭い世界でしか生きられなかった可哀そうな人だなと思いました。
キュートな鼻眼鏡くん♪
『SEX・ドラッグ・狂気』の映画ではありますが、私の中のイヴ・サンローランは『オバサンブランド』を通り越して、すでに『オジサンブランド』!
「今バッグを買うなら無難な所でCOACHかな?」なんて認識なので、この映画それほど衝撃的ではありませんでした。
でも、まあサンローランが可愛いくって結構、観れてしまうあたり(;´д`)
ピエール・ベルジュと追いかけっこするシーンなんか「仔犬か?!」って位の無邪気な中学生男子ぶりで……
二人とも、いい歳なのに!
ゲイの追っかけっこと言えば、海岸で無駄に薄着の髭面のオッサン二人が「待てよ~♪」「捕まえてごらんなさ~い♪アハハ」のギャグシーンしか浮かばないのですが、本編のコレはホーント可愛いくって♪エロさもなくって、これだけでも一見の価値はあります。
あとファッションショーの最中に、忙しいスタッフに邪険に扱われてて居場所の無い彼が『出産を待つ父親の様に役立たず』で……
ぷぷぷ(^w^)
ショーが成功を納めると、舞台に引っ張り出されて「生まれましたよ、お父さん」とでも言う様に大きな花束を抱かされる。
これはピエール・ベルジュとサンローランの二人の子供って事になるのかな?( ̄▽ ̄)
彼らは自然体でくっついて、ファッションという子供を産み出し続けていった。
男女の夫婦であれば当たり前の話だけれど男のサンローランにはマタニティーブルーはキツかった!って感じなんですかね?!
┐('~`;)┌
凡人には遠い世界
イヴ役の人、まぁ美しい方でした。イヴによく似た方でした。ヴィクトワール役の人、私にとってどストライクな美人さんでした。ウィノナライダー系ね。
お話は、きっと事実に沿ってるのでしょうねぇ。ドラッグが入手しやすそうな感じは時代なのか、地域性なのか…
イヴは天賦の才と、繊細さによって、生きずらかったんだなぁ。ゲイであることは、そこまで生きずらさに直結してないように観えたけれど、それもやはり地域性?なのかな。ファッション業界(つか芸術系全般は?)はもともと同性愛者多かったからとかかな。都会やってのもあるよね。
ピエールがいきなりヴィクトワールとしちゃったり、そういや冒頭でイヴはヴィクトワールに求婚してなかった?え?2人ともバイセクシュアルなの?つかピエールとヴィクトワールは喧嘩したんちゃうん??あれあれ?
などなど、恋愛関係は正直理解に苦しむところもあったのではあるけれども、美化してないところが良いとも言えるかな。
カールラガーフェルドの彼氏との本気の浮気とかも、イヴの言い訳が恋愛保守国ジャポン育ちのわたしには意味不明…でした。
天才だからこそ見られた景色と、天才であるがゆえに陥った地獄と。凡人には遠い振り幅が大きすぎて縁遠い人生を垣間見ることができました。
イヴが初めてピエールの別荘にいって、プールサイドで寝そべってるシーンが萌えでした。
イヴとピエールが街の中で追っかけっこしながらいちゃついてるシーンも萌えでした。
生き証人による限りなく事実に近い伝記
小学校5年生の時にテレビでコメデイフランセーズの芝居を見て、この世にこんな素晴らしい世界があったのか、と心底感動した。観たのはモリエールの「スカパンの悪だくみ」と、「悲しき性」の2本だ。舞台の上で、指先から足のつま先まで、よく訓練されたからだ全体を使って役を演じる役者たちのすばらしさに目を見張った。特にスカパン役の喜劇俳優の、体を自由自在に駆使して巧に笑いを引き出す役者の姿に深く深く感動した。喜劇というパワーに圧倒された。たかだか小学生の自分が、フランス語だったから字幕を読みながらのテレビ中継に どうしてこのときそれほど感動したのかわからない。ともかく、これを観てからは世界が違って見えるほど、舞台というものに感動した。
国立コメデイフランセーズは、1680年に、太陽王ルイ14世によって結成された、世界で最も歴史あるフランスが誇る劇団だ。役者たちは舞台稽古の前に、1時間かけて発声練習をするという。自分たちの言葉フランス語を大切にするフランスならではのことだろう。
映画「イヴ サンローラン」を演じた二人の主役俳優が、コメデイフランセーズの役者だという。確かに、ギヨーム ガリエンヌが運転していた車を止め、車を降りて、女性が車から出るのに手貸し、ホテルのドアまで歩いて女性を先導して中に入る、というただそれだけの30秒のフィルムが回る間の流れるような身のこなし方を見ただけで、ほほーっと感動してしまった。絶対に東洋人にはまねできないのと、普通の生活をして暮らしている普通の人にもできない。さりげないレデイファースト、身についたエスコートの身のこなし、それが身震いするくらい美しい動きになっている。体で表現する役者と呼ばれる人たちの動きは、まことに自然で無駄がなく美しい。
映画は20世紀でもっとも活躍したファッションデザイナー イヴ サンローランの伝記映画。
コメデイ フランセーズの役者ピエール 二ネとギョーム ガリエンヌが、生涯のパートナーだったサンローランとベルジュの役を演じている。現在もまだ仕事を続けているピエール ベルジュが映画製作に全面的に協力していて、1976年のサンローランがファッションに大ブームを引き起こす契機にもなったパリ ウェステインホテルでのオペラバレエ コレクションの発表などで出品された作品すべてを再現している。生き証人による限りなく真実に近い事実をそのまま映画にした伝記だということになる。映画化にあたって、サンローランのパートナーであり、共同事業者であったベルジュとしては、触れたくない過去や明るみに出したくない出来事もあったが、良かったこと悪かったことすべてを含めて、これがサンローランという男の人生だった、と述べている。
ストーリーは
イヴ サンローランは若いデザイナーとしてクリスチャン デイオールに認められデイオール社で働いている。彼にはデイオール社のトップモデル、ヴィクトリアという女性がいて、まわりからは恋人同士と思われていたが、サンローランに首ったけのヴィクトリアのベッドの相手を彼は勤めることができない。ある日、美術館で働くピエール ベルジュは、デイオール社のパーテイーでサンローランに出会う。ほどなく二人は恋に陥って、共に暮らし始める。社長であるクリスチャン デイオールが亡くなり、サンローランがトップデザイナーとして仕事を引き継ぐことになった。若すぎるのではないかと危ぶまれていたサンローランは、デイオールの最初のファッションショーで酷評される。すでに出来上がっているデイオールのイメージを継承して世の酷評に耐えながら仕事を続けることに耐えられなくなって、サンローランは独立を決意する。
サンローランは、トップモデルのヴィクトリアとわずかのスタッフを連れて、退社してサンローランブランドを ビジネスとして立ち上げる。パートナーのピエール ベルジュは、自分の仕事を辞めてサンローランの会社としての経営と運営を一手に引き受けることになった。事業が軌道に乗るには時間がかかったが、やがてサンローランは、ピカソの抽象画をヒントに直線と原色を使った婦人服を発表して世界の注目を浴び、事業として成功していく。もてはやされ、贅沢に慣れ、海沿いに別荘をもつ。デザイナーは、常に新しいインスピレーションを得て、新しい物を作り出すことが命だ。新しい刺激を求めてサンローランはドラッグとアルコールに、嵌っていく。若い恋人ができて、パートナーのベルジュは捨てられる。ヴィクトリアとの関係さえ、壊れていく。若い恋人の自殺、さらなるドラッグ、、、サンローランは自分でコントロールできない闇のどん底まで落ちていく。それでも何事もなかったように事業として成功させ、表のサンローランの顔を取り繕い、支え通したのがピエール ベルジュだった。というお話。
二人の繊細な心を持った男たちが出合い、恋に陥っていくシーンがセーヌ河をバックに美しい。細やかな男たちの愛の表現に胸が詰まる。ヴィクトリアがサンローランのアパートを訪ねてきて、「あらベッドルームが一つしかないのね。知らなかったわ。」とすんなりサンローランとベルジュの関係を認めるシーンもフランスらしい。天才的デザイナーで創造する人と、それを世に出すトップモデルと、またそれらを事業として成功させるマネージャーという3人にとって、そのうちの一人でも欠けていたらサンローランブランドはあり得なかった。3人の信頼と嫉妬と憎悪、、、奇妙な三角関係は、それだけで興味深いドラマになる。ベトナム戦争、カルチェラタン、学生革命といった新しい時代に、新しさを求めて、サンローランが身を持ち崩していく過程は痛ましい。それでも直線的で、清潔、高貴な香りのするサンローランブランドを世に出し、、事業として成功させて、今も継続させてきた人々の努力と誇りは評価できる。華やかなファッションショー、美への探求、豪華な舞台、見ているだけで楽しい映画だ。
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