「才能と共に。」イヴ・サンローラン Sai.さんの映画レビュー(感想・評価)
才能と共に。
天才であること。それは、確かにそれだけで十分苦しみを抱えてしまうものなのでしょう。けれどこの映画に関しては、その天才を支える側の、終わりのない痛みと愛が苦しかった。
生涯のパートナーは君だけれど、恋人にしたいのは別の人なんだと平気で言わせてしまう天才という才能。誰よりも近くにいるはずなのに、拭いきれない寂しさを抱えているパートナーに対してのその発言。
それでも愛しているから…
自分ではどうにもならないものを愛してしまった時の、つらくてつらくて哀しい側面を存分に堪能できる映画だと思いました。
デザイナーに同性愛者が多いというのはよくある話。才能が身を滅ぼしてしまうことも、よくある話。互いが互いに、世間に、才能に、そして自分自身に喰い尽くされていく。なかなか、ズシリと痛いものがあります。
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