劇場公開日 2015年2月14日

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「丁寧さの権化」娚(おとこ)の一生 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0丁寧さの権化

2016年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

笑える

楽しい

幸せ

近頃Instagramで「#私を構成する9本」ていうハッシュタグが流れてくる。私はこの映画をそのうちの1本に入れることにする!

上述したあらすじを読めば、まぁありがちな「少しずつ変化が」系なんだけれど、 一つ一つのエピソードから、つぐみの真摯な性格だったり、海江田のちょっととぼけた真っ直ぐさが伝わってきて、全然ありがちじゃない。唯一無二。そんなに大きな出来事はなくても(ウイルスは蔓延しないし地球外生命体の襲撃もない)、丁寧に作りあげればこんなクオリティの作品になるんだなぁと感激した。

自分史上最高に大好きで泣きまくったドラマ「Nのために」も、視聴率こそすば抜けて良くはなかったものの、視聴者の満足度は非常に高かったらしい。Twitterのタイムラインに流れてくる感想を読んでみると(寝る前の日課だった)、「丁寧」というフレーズが頻繁に出てきた。そうなんだよ。丁寧さって大事よね。おばあちゃんとつぐみが染物をするというのが特徴的。染物って。染物って。丁寧さの具現。つぐみの母親は対照的で、大雑把でよく喋って悪く言えば雑。だからこの映画では重要人物にならない。つぐみと海江田の恋は、雑な人間は足を踏み入れることのできない聖域。

あと、これも「Nのために」を観て思ったことだけれど、榮倉奈々の、田舎町に佇む民家と自転車への馴染み具合ね、これはもう尋常じゃない。長身でスレンダーで顔も小さくて、只者じゃない感満載なのに不思議と庶民的な景色がしっくりくる。飾らない雰囲気ながらトレーニングはガッツリ週5回やっているらしい。元モデルでここまで演技ができる俳優さんってなかなかいないと思うんだ。すーごく好き。

そしてところどころフジモンに見えたトヨエツ。「なんかのCMに出てたよね〜」くらいしか興味なかったけど、海江田の立ち居振る舞い全てが微笑ましくてトヨエツも好きになった。5分に1回の頻度で笑みがこぼれまくった。しかしあの有名な足を舐めるシーンは驚異的に官能的だった。

哲学の教授ということで、一応大学で哲学専攻だった私にとっては馴染みのある人物像。行き過ぎた真面目さゆえにどこか面白おかしくなってしまう。本人にその気はなくても周囲はほっこりしてつい笑ってしまう。あぁいう先生いたなぁ、古代ギリシャ哲学の講義とか震えるほど楽しかったなぁ。懐かしい。

いい映画だったから録画を消さずにおこうと思う♪
またいつか観たいな。

Chisa