キル・ユア・ダーリンのレビュー・感想・評価
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The New Vision
凄かった!これは作家や詩人の黎明期なんだな! また、この映画作品が3人の芸術家の新文化の芽生え、50年代に起こって行く新世界をうまく表現してると思う。
アレン・ギンズバーグとジャック・ケルアックはよく知っているが、あとは誰も知らなかった。ウィリアム・バロウズも聞いたことがなかった。映画を観る前に、この二人は著名な作家だが、後の人々はどんな関係があるんだろうかとか、ギンズバーグとジャック・ケルアックとはコロンビアでどんな友人関係を築き上げたのだろうとか考えた。
私の娘はジャック・ケルアックの『On the Road (路上)』を読んでいたので私は彼についてはかなりよく知っていた。 文無しのジャック・ケルアックはこの長編小説で脚光を浴びたと聞いた。7年(???)ぐらい山にこもっていて、その後、この作品を3週間で書き上げたと読んだ。この映画でギンズバーグもこのような勢いてタイプライターに向かって原稿を書いていたので被った。
コロンビア大時代の逸話を初めてこの映画で観て、驚いた。それも、本当の話をベースにしていると字幕に書いてあった。アレン・ギンズバーグは大学生の頃も『爆発』がピッタリ合う性格だったんだ。
アレン・ギンズバーグの詩歌、はっきり言って、社会政治批判の散文詩のようで、ヒップホップ調に詠じるのを聞いたことがある。ポールマッカートニーのギターで叫ながら朗読したものだ。 この原動力になったのが、コロンビア大学時代なんだ! なるほど。
それに、40年代大学生だから、この映画ではキャンパスに女性が数人しかいないというよりいることに驚いた。当時の伝統は女性は主婦になって子供を産んで育てるということで、ル-ス ギンツバーグ(最高裁の判事)のように1954年に大学を卒業したときですら女性は主婦と決まっていたらしい。
フランスのアルチュール・ランボーのような詩歌を愛する、その時代、思春期を迎えた、青年たちが、ホモセクシャルに走らないはずはないと思ってみていた。それに、米国19世紀の「自由詩の父」ウォルトウィットマンの詩もランボーように思われたかもしれない。(?) ルシアンが持っていたイェイツの詩集『 A Vision』も当時憧れだったのかも?
でも、痴情の縺れで殺人にまでに発展するとは?! それも、シカゴでガス自殺を図ったルシアンを病院に運び助けたのはデビット。それに、アレン・ギンズバーグに弁護させ片棒を担がせるとは。それにもまして、この痴情の縺れをThe Night in Question(ぴったりの題だね)という論文にして、伝統的なステーブ教授やアカデミックディーンにまで読ませるとは。また、アレン・ギンズバーグを目の敵のようにしたカチカチのステーブ教授が『続けろKeep This, Keep Going』と論文を送り返してくるとは。それも、ウォルトジュニアー(ウォルトウィットマン二世と言う意味)と書き出しで、すごい!なんと勇気の出ることか。それに、最後の終わり方が好きだ。ラジオでフランスとヨーロッパが自由になって、やっと暗い時代が終わると。そして、アレン・ギンズバーグの人生も暗い部分が終わり、黎明にと。 これこそがThe New Vision。アレン・ギンズバーグの微笑みが心に残る。
アレン・ギンズバーグはすでに才能を大学時代で開花させていると思う。ルシアン・カーもジャック・ケルアックも感服して褒め言葉を与えている。 デビット(多分?)もアレン・ギンズバーグは世界を変えるかもしれないと敬意を表している。
ルシアンとアレンとジャックがボートの上にいて、アレンが詩を詠む。あくまで私感だが、この時のこの詩でアレンはすでに自分の詩文を確立しているんではないか?ルシアンは『斬新な言葉とリズム』という褒め方をしている。 アレンはボートを盗んだのに自分のアイデアからだと学校側に伝えてたことにより、ルシアンを助けている。ここで、二人でいるからこそ、世界を変えることができると言ってると思う。 しかし、そうは問屋が卸さない。
かっこいいシーンはジャック・ケルアックと奥さんが二人で送られてテープを聞いていて、Shelly's Elegy for Keats という。その時奥さんが 『どういう意味?』と聞く。ジャック・ケルアックは『死だ』と。これがデビットの死に結びつけて脚本が出来上がっている。 私はこの詩を知らないので、反応はこの奥さんと同じ。
ルシアンは才能を爆発できないのか、書く才能がないのか、私にはわからないが、最終的にはUPIの編集者を2005 年まで勤めると字幕に。ウィリアム・バロウズはデビットと友達で、この事件を小説『Junkie and Naked Lunch』として原稿を書いたが、60年間出版しなかったと。 それに、アレン・ギンズバーグはルシアンに捧げるとして作品を描いているがルシアンは全部名前を落としてくれと。
ビートニク前夜
Kill Your Darlings
かの有名なビートニク詩人のアレン・ギンズバーグが主人公の本作。彼については大学の講義でその生涯と著書を習った程度でしかなかったため、彼の学生時代を取り巻いていた現実を史実を基にしたという脚本を通して知ることができたのは新鮮であった。
歴史に名を残すような人たちはやはりどこか秀でているものなのだろうか。伝統を重んじるコロンビア大学の姿勢に相反して新派を起こそうとするアレンたちの姿勢は、まさに「新しい文学の創造」を感じさせた。私にとって「詩」がビジネスとして商業的に成功していたことが今では実感しづらい。それに文学は孤独な作業の連続で、なおかつ高尚なイメージがあるため、結果的に身も心も滅ぼしてまで文学に熱狂した若者たちがいたことが、遥か遠い世界での出来事であることをより一層強調していたように感じる。
この映画の登場人物の関係図を描くとすれば、ルシアン・カーを中心に据えるのは間違いないだろう。それぐらいこの映画(一連の事件と言ったほうがよいだろうか)は彼を中心として進行していく。デイン・デハーン演じるルシアン・カーはその佇まいや美貌もさることながら、行動や発言も他とは一線を画すところがあり、何かと目を引く存在だったに違いない。そして何より他者に取り入るのが上手く、ジャックやデヴィッド、アレンにとってはいわゆるファムファタール的な人物だったのではないだろうか。
本作の主題は、新たな文学の新派の勃興を記録したドキュメンタリー的なものである一方で、他者との良い関係を築く上でのあるべき姿勢のようなものを問われている気がした。ルシアンのように自らの弱い部分を隠して虚勢(でもないかもしれないが)を張るだけでは、一切の信頼関係を築くことはできないのだろう。因果応報なのか、アレンが決別を決めた留置場での彼の姿はとても惨めだった。しかしその後アレンは最初の詩集でルシアンへ献辞を捧げており、彼は友人としてルシアンの更生を願っていたのではないだろうか。
デハ〜〜ン氏………
切なすぎ。胸が苦しくなるほどの傲慢な愛。
「史上最も美しく危うい殺人事件」というキャッチコピーなら、ルシアンを主人公にすれば、もっと耽美的でコアなファンがつく作品になったのに。
エンディングを観れば、殺人事件を描きたかったのではなく、アレンが牽引していたとされるビ―ト派の主要な4人組の大学時代を描きたかったのだろうと思うのだけれど、アレンが、母親の呪縛から解放されて、気の合う仲間と知り合って、ちょっとはじけすぎたその毎日を延々と見せつけられた気がする。
「見せつけられた」と書いたけど、アレンの図書館でのヌードや半ケツの場面は必要だったのだろうか?余計な不愉快な場面を見せつけられた感じで嫌悪感。
ラスト近くのベッドシーンや、ルシアンとのキスは、物語上とても意味があって、ドキドキしながら魅せていただきましたが…。
人との関係性も、ルシアンを軸にしていろいろ交差するんだけど、関係に深まりが感じられない。アレンのトリップした幻想の世界が多かったからか、何度も繰り返してしまうが、アレンがはじけているその周りを他の人物が右往左往しているように見える。
それでも、
人を惹きつけておかずにはいられない人たらしの癖に、一人の人と関係を深められない、深めたら去って行かれそうで怖くて安定したニ者関係を築けずに、常に三者関係を作ってしまうルシアン、その苦しみ・孤独をあれだけの場面で表現しきるデハーン氏が凄い。
やっていることはストーカーにしか見えないディビット。でもホール氏の演技を観ていると、ああやって嫌われる前にどれほどの蜜月的な時間があったか、ルシアンを支配しているようでいて、心が奴隷化しているのはディビットであると言うのが切ないほど伝わってくる。
「ああやっと君の気持がわかった」ディビットが言う。「いつの気持ち?」ルシアンが尋ねる。それに対するディビットの答えが、殺人を誘発してしまう。
ルシアンは、ディビットの何からこんなに逃げたかったのか、葬り去りたかったのか。そこは映画の中では語られていない。
何故それほどまでにと狂気ともいえるほどに、ディビットから逃れようとするルシアン。でもアレンは理解していない。「別れる」と言えば別れられると思っている。アレンはルシアンの何をわかった気でいるのか。アレンは最後までルシアンを理解していない。理解しないまま、己の正義をつきつける。それがどれほどの悲劇を生んだか気がつかないままに。アレンはルシアンに著作を捧げたが、ルシアンに拒否されたとラストで流れる。そりゃそうだろう。
そんな青年期の傲慢さ、無神経さ、自己中心さをラドクリフ氏は実直に表現していたと思う。
創作の為なら、(心の中で)大切な人を殺せ。-講義に出てくるのだそうだ。
変革、革新、産みの苦しみ…。
アレンの芸術、ルシアンの生き様…。
ルシアンを愛で、アレンやディビットに会いに、見直したくなる。
(映画館でのDVD鑑賞)
デイン・デハーンがモテモテ
演技ではない誘うような魅力が彼自身から感じる
ダニエル・ラドクリフも適役
デインに見放され男と寝たところは衝撃だった
事実に基づいたそうだが原作やモデルを知らないため「へー」という感じだった
視聴後調べてみた
詩など縁のない私も聞いたことのある名前だったのですごく有名なのだなと
原作やモデルのファンか目当てのキャストがいる
そしてゲイによほど抵抗のない人でないと観られないかと
デイン・デハーンが素敵なだけ
ホモ要素が無ければ観る人いないかも。
詩だのビートニクだの言われても分からんよ、という方にはハリポタ俳優がホモやってるよと紹介するしかない内容。面白くない訳でもなく、面白い訳でもない微妙な作品。個人的には一番凡人扱いされていた主人公が一番有能だった事に納得。ブッ飛んでる人の感覚をそのまま書いても伝わらないもんね、成る程ねと
何の予備知識も無く観たほうが楽しめます
圧倒的デイン・デハーンパワー
当時のビート派の空気感が伝わってくる。戦争が近いようで遠く、ドラッグ、酒、セックス、同性愛にどん底の奴らがもがき狂乱する。
アレン視点のせいであまりドラマチックなサスペンス要素はないけれどデイン・デハーン演じるルシアンの魅力が存分に感じられる。
あっという間に惹かれ、同時に創作への活力が燃え上がる様は本当に楽しそうだ。
そして魅力と同時にバロウズの妻では花々を舞う蝶と例えられた男の苦しみ、身勝手さも伝わってくる。
過去にどんな事があったのかは具体的に劇中ではしめされていなかったがストーカーから逃れたいといいながら論文を書かせ、家に入り浸る。アレンに対してもある一線を越えさせる事を受け入れるくせにそうなった途端別の男の元へいく。素質はありながらも自分のセクシャリティを受け入れられない。
アレンが「殺した」ことで彼は本当の意味で進むことができたのだろうか。
あとデビッドが刺されるシーンの音楽がとても印象的でかっこよかった。
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