悼む人のレビュー・感想・評価
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いろんな想いの詰まった作品。
以前から気になってましたので、ムビチケを買って観てきました。
公開二日目ですが、あまりお客さん入ってなかったですけど。
素晴らしい作品でした。
多分、この映画はホントに観る人によってかなり左右される作品だと思います。
実際に、僕も「静人くん」のように大事な友達を失いました。
自分自身が「その死」を忘れてた事への気持ち。
多分・・原作ではもう少し丁寧に描かれてるのかもしれませんが
「心」にそういった抜けないトゲが刺さる時って、やはり
思いがけず・・いきなり刺さってしまいます。
その心の傷との対峙方法がわかればいいのですけど・・
耐えられない場合もあるので・・彼はきっと「悼む」ことで。。
「傷む」ことを続けてるんだと思いました。
この状況には・・実際に陥らないと「理解」は難しいのかもしれません。。
「感情的」な部分と、「論理的」な部分をうまくミックスしつつ
その背景には「スピリチュアル」な部分さえも垣間見えます。
なので・・「感情的」にだけ見ても理解できない部分は多々あると思いますし。。
「論理的思考」だけでは、「感情的思考」にかんして、論理が破綻してしまう。。
この映画は、その時の気持ち、状況などでくるくると見え方が変わる。。まさに「なまもの」のような映画だと思いました。
確かに、最初の方は「悼む人」の行為に懐疑的な感じで。。
「思ってた以上にヘンテコ」と思ったのですけど。。
僕は、見ていくうちに引き込まれていき。。中盤以降は涙が止まらなかったです。
役者さんが職人みたいな人が多いので、演技合戦も凄いです。
沢山の人が死んでしまう。。そんな事が、僕の人生の中で何度か経験させられました。。
その都度、人の死は「数字」に置き換えられてきました。
でも、確かに・・そこに生きてたという事を僕は忘れない。
その気持ちは、すごく「痛いほど」に刺さりました。
なので・・誰も「その死」を悼んでくれなくても。。
せめて、「悼む人」が代わりに悼んでくれると思うだけで、心が軽くなったりするのかもしれません。
僕は、そういった意味も含めて久しぶりに10年に1本の作品だなと感じました。
共感出来ない
原作は読んでいません。
作中の台詞にもあったが勝手な想像で故人を悼んでもそれは自己満足に過ぎないと感じる。
主人公の考えは矛盾だらけで、良くある自分探しとかいう逃げている人の訳のわからない言い訳と何ら変わらない。
そう感じる人が多々いるであろうことへの言い訳の様に、最後の最後で少し人間らしくはなったが、そこからの展開はなく、かえってわかり難く曖昧な仕上がりになっている様にも感じる。
現実に生きている人々や生きてるいる自分に向き合い今を大切に生きているとは感じられない主人公に共感は出来なかった。
消化が追い付かないほど過密な生死のドラマ
死んだ人間を “悼む” 為に全国を行脚する青年と
それを取り巻く人々の姿を描いたドラマ。
原作は直木賞受賞作だそうですが未読。
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人の生死を巡るドラマということで
会場ではあちこちですすり泣きが聞こえていたが、
残念ながら僕個人は涙を流すことはほとんどできなかった。
理由は、登場人物達にうまく感情移入できなかったから。
どの人物も、それぞれの価値観を論理として理解はできるが、
あまりに極端というか突き抜けているというか作劇的というか。
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まず主人公・静人の行動に、完全には納得がいかない。
死者の背景をよく調べもせず “悼む” ことについての解は
示されていないし、同行する奈儀との旅に喜びを感じてしまった後や、
自身の母親の死期が近いと知った後などには、
彼はもう少し混乱を見せて然るべきだったと思う。
そもそも彼は誰の為に“悼む”のか?
死者を忘れる自分に我慢がならない故の行動であれば、
その行動は結局のところ自己満足に過ぎないのではないか?
純粋に死者を想っての行為だと感じられれば良かったが、
僕が本作を観て最終的に抱いた印象は前者の方が強かった。
“悼む”という日常で聞き慣れない表現を見ず知らずの
人間にも貫く部分や儀式めいた所作もその一因だ。
人間の行動は不合理で、静人自身もまだ道を定めきれて
いないのだろうとは思うが、他者に対する情感が彼からは
あまり感じられず、非常に共感しづらかった。
記者・蒔野も、あのバーで何故怒りを見せなかったのか?
母を不憫に思う彼が、身勝手な父親の生き方に賛同する
者達があれだけいる空間に耐えられた心境が解せない。
その後の「覚えられるような生き方をするんだ」という
叫びには心を動かされたが、
序盤でも売春をしていた少女が蒔野の予想に反して
恋人と友人に囲まれていた=人の記憶に残っていた事で、
上記の発言との繋がりは今ひとつになってしまう。
ただ、孤独の内に死んだ母親と彼との関係を軸に考えれば
そこもなんとなく理解できなくもないが……
(静人の母を再訪するシーンは良かった)
今はかなりぼんやりとした理解にとどまっている。
また、相変わらず圧巻の演技を見せる大竹しのぶの、
最後に見せる穏やかな表情にはじぃんと来たものの、
・死んだ者達とそれに想いを寄せる者達を描いてきた物語が最後、
新しく生まれる命と死に行く命をどう対比させようとしているのか?
・祖父が死んだ海と自分の家とが交互に彼女の頭の中を巡った理由は?
・最後に現れた静人は彼女が最期に見た幻だったのか?
などの疑問がいちどきに頭を巡ってしまって過負荷状態。
考えが纏まり切らない内に終幕となってしまった。
(奈儀とその夫についても書こうと思ったが
もっと考えるのが面倒そうなのでやめておく。
少なくとも結論は同じく「共感しづらかった」である)
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「話の整理が甘い」とかそういう批判を述べてはいない。
それを判断出来るほど僕は内容を噛み砕けていない。
登場人物一人一人の抱えるバックグラウンドが複雑過ぎて、
しかも彼らの心情も劇中で変化していく訳なので、
物語を追いながら彼らの感情を自分の中で消化していくのは、
僕の脳ミソにはかなり高難易度の思考作業だった。
良く言えば濃密だし、悪く言えば詰め込み過ぎ。
二度三度と観ればまだ理解出来る余地がありそうだが……
繰り返し観たいと思うほどには本作に惹かれてもいない自分。
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それでもこの映画には考えさせられる部分も多い。
他者の中に記憶として刻まれることが生なのか、
ならば忘れ去られることこそが死なのか。いや、
他者を愛していれば、例え己が記憶されなくとも
生きていると言えるのか。記憶されたいという想いは
自分が生き続けたいが故のエゴなのか。
ぐるぐるぐるぐる。
まあもっとシンプルに共感できる部分があるとすれば、
それはやはり静人の行為自体の中にあるだろうか。
僕は今のところ死んだ事が無いので
死後の世界があるかどうかは知らないが――
もしも僕が死人なら、見ず知らずの人間でも「あなたの
事を覚えておく」と言ってもらえることはたぶん嬉しい。
多くの人間の事を一生記憶できるとは到底思えないし、
僕がどんな事情で死ぬかも今のところ分からないので
「分かったような口利きやがって」とは言うかもだが、
それでも労いの茶のひとつぐらいは出したい気分になると思う 。たぶん。
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以上。
未だに解せない部分は多々あるものの、描こうとしている
テーマは大きいし、作り手の気合いは伝わる。
人の生き死にについて少し考える、そのきっかけにはなる映画。
<2015.02.14鑑賞>
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