カップルズのレビュー・感想・評価
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とても面白く見た。ちょっと相米慎二を彷彿とさせる。
今はなき台湾の監督、エドワード・ヤンの96年の作品。4Kレストア版。
私は、初エドワード・ヤンでした。
とても面白く見た。ちょっと相米慎二の作風を彷彿とさせる。
引きの画で、それほどカット割をせず、長いカットで役者たちの演技をしっかり見せる。アップはほとんどない。リアルで濃密な画作り。
台北の当時の都会の雰囲気がよく出ていて、その中で(雑踏や、バーなどの大勢いる中で)登場人物が活き活きと描かれていて面白い。
話の内容は、4人の若者たちの、「カップル」にまつわる話がさまざまな形で巻き起こる。でそれぞれが悲劇があり、若者たちの離散があり、でラスト、4人の中の一人の若者が、思いを寄せていたフランスの少女(17歳ぐらい?)と最後に心が通じ合い終わる。
路上の大勢の人がいる中でのキスするシーンは多分隠し撮りなのか、周りの人々が普通に反応しているのが面白い。そんなところも相米慎二っぽい。(「セーラ服と機関銃」のラストみたいに)
雑多な雰囲気が面白いし、タケシのように喜劇と悲劇が同時に存在するような作風は面白い。
エドワード・ヤンの他の作品を見てみようと思う。
思ったよりわかりやすかった
・ほかのエドワード・ヤン作品を観て、よくわからない物が多かった中で、わりとストーリーがあった印象。
・当時の台湾の感じをラブゴーゴーが良かったので観てみたくなって観た。
・冒頭で美容師の車が気に入らないから?みたいなことでトラックでぶつけていたのが全然意味がわからなかった。後から特に理由もなかったので、ただ気に食わない奴ってだけだったのだろう。
・冒頭でヤクザが借金を踏み倒した?男の息子を捕まえて金をとろうとしているという説明から始まった。息子は息子でヤクザみたいな商売を仲間としていて、仲間の一人が女をおとしてもう一人が似非風水みたいな事をして金を巻き上げるみたいな事をしていた。おとした女も仲間で回していたりして酷い奴らだった。その青年たちがキスをしたら呪われるみたいな事を信じていたのがよくわからなかった。
・冒頭で男のためにフランスから来た女性に一目ぼれした英語のできる青年の話が主軸だったらしくそういう風に観るには無理があるだろうと思った。
・勘違いで不幸に落ちていくみたいな展開が続いて、その中で色々と無理があるような気がした。父親が不倫して家がぐちゃぐちゃになった原因のアンジェラという女が出てきた。アンジェラは父の時と同じように金を巻き上げようとしている女がいる、年もあれぐらいだ、あいつがあのアンジェラに違いない!っていう思い込みだけでそんなバカなって思ったら、案の定違う女だった。アンジェラという名前の台湾人?のようだったので、そういう風に英語の名前で生きてる人、多いだろうにって思ったし浅はかすぎて気持ちがそれた。
・喫茶店で息子の名前で呼び出して、別の青年に出てくれって言って電話に出た時に、あいつが息子だっていう勘違いをヤクザがしていたけど、息子は割と大声でしゃべっていたのでわかりそうだよなぁって思った。
・ほかのエドワード・ヤン作品にしては銃を何発も撃ってて激しいなぁって思った。息子は借金だったか踏み倒した父親に復讐しようとしたときに知らない女と自殺しているのを目の前にして自暴自棄になっているところ、自分がやっていたヤクザな商売を持ち掛けられてバカバカしくなって持ち掛けてきた男を殺した。女を落として回してた男は、数人の女におもちゃにされて気が狂ったり、しっかりとした因果応報を受けていて面白かった。そこまでが長かったのはちょっとあれだけど。
・話の途中でフランス人に恋をした青年が自宅ビル?にかくまっていた。同居しているおじさんなどが沢山いる中で、かくまっていることがばれてないってのがそんなバカなって思った。
・ラスト、二人は結ばれて終わった。背景の人たちがむっちゃ二人を観ていた。
暗く輝く映像美の中で描き出される、モラトリアムで「麻將」な世界
昔々観たた時から「なんかメチャクチャ惹き込まれる」と思ってたんだけど、4K版でリバイバルしてるってことで久しぶり(なんと、あっというまに30年!)に観ました。
現代にも通じる、当時よく使われていたモラトリアム(!)な熱や空気感みたいなものが怒涛の如く蘇ってきて、とても感慨深く、今思えば、なんだかんだ、生意気で、つけあがってた、タカビー(笑)な時代が、走馬灯のように蘇ってきました!!
(一番初心っぽいルンルンの、黒タンクトップ+ジーンズファッションが、また、妙に当時を象徴していて超懐かしい)
ちなみに、原題の「麻將」とは、すなわち、表面的には、楽しくギャンブルのような日々に興じながらも、それぞれが、損得を勘定しながら、探り合う、アンバランスな危なっかしい関係性ってことなんでしょうか?
にしても、ラストはどう捉えればいいんだろう・・・?
マルトには、得も言われぬアバズレ感があるし。
ルンルンにも妙な危なっかしさがぬぐえない。
最後、仲間内では「不吉」といわれていたキスを交わす二人を、どう捉えるべきなのか・・・?
もちろん、希望への第一歩とも受け取れる反面、個人的には、
(単なる配給会社の名前とはいえ)最初に映し出される「Bitters End」の文字が、
最初から最後まで、ずっと頭にこびりついて離れませんでした。
(ニューシネマ好きの自分としては、どこか「卒業」のラストシーンに近いものを感じます)
タイトルなし(ネタバレ)
台北の街でつるむ4人の少年。
いずれも二十歳前。
リーダー格レッドフィッシュ(タン・シャンシェン)、ナンパ係のホンコン(チャン・チェン)、偽占い師のトゥースペースト(ワン・チーザン)、それに新入り通訳のルンルン(クー・ユールン)。
フランス人少女のマルト(ヴィルジニ・ルドワイヤン)をはじめ、カモになりそうな女性が目の前にいる・・・
といったところからはじまる少年4人組の犯罪絡みの物語。
原題の「麻將(マージャン)」が示すように、4人のうち誰があがるかというゲームのような映画で、初期のガイ・リッチー作品に似ている。
冒頭の字幕で状況をさらりと説明して、レストランバーで東南西北の4人の少年と、彼らの配牌(マルトその他の人物)を紹介。
キャラが決まれば物語は自然と動き出す、という感じの脚本。
割と長めのショットで繋いで行く演出を採っているにもかかわらず、テンポがいい。
過多気味の台詞や登場人物の出し入れが上手いんだと思う。
そういう意味で『カップルズ』の邦題は、ロマンス映画っぽくって、ちょっとそぐわない。
まぁ、ラストは良牌ツモってカップル成立だけど(「ズ」じゃないし・・・)。
わたし的なタイトルは『台北、東南西北』だなぁ、『カップルズ』
青春の痛みとかそういうのはあまり感じなかったです。
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