ポルトレ PORTRAITのレビュー・感想・評価
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今時では珍しい、モノクロ映画。
最終日、映画を拝見させて頂いた者です。映画を撮る技術に関して無知ではありますが、一意見として読んで頂ければ幸いです。
最初は、引き中心に撮っている事に違和感を感じましたが見ているうちに、モノクロでならこういうのも良いなと感じ、自分の引き出しを1つ増やすことが出来ました。
セリフが少ないことから見る側として少し難しい映画にはなっていますが、吉村くん演じる青年と松本さん演じる女性との関係は非常にシンプルで分かりやすく、とても良かったです。
吉村くんの演じる青年の自由が故に不自由になった、そこからくる無気力さはとても魅力的でした。
青年の佇まいには吸い込まれる様な、なにか特別な物を感じ、ポラロイドカメラで自分を撮るシーンももちろんですが、カンカンを抱きかかえるシーンや、腕を伸ばして冷蔵庫の上からポラロイドカメラを取るシーン、とても好きです。
それらからは、毎日の日課であること、青年にとって大切な宝物である事が連想出来ました。
また、青年が酷く不出来なパチンコの景品を持って女性の家に行くシーンも好きです。少し現実味があるというか。リアルではないのに、リアルでした。
また、松本さん演じる女性は、青年とはまた違った悩み、苦しみを抱えている様に自分は感じました。
青年と同じ様に無気力ではあるのですが、どちらかというと現実に疲れた様な、失望に近いものを抱いている様な気がして、青年の様なカラッポさとはまた異なるものを持っているようで魅力的でした。
どこか、自分と同じ物を持つ青年に惹かれる1人の女性の様に捉え感じていました。
女性の家で青年と2人で話すシーンが何度かありましたが、部屋が質素だったことから2人の雰囲気が非常に映えていて、良かったです。
この映画では、青年の持つ価値観、青年にしか見えない景色が所々描かれていて素敵でした。ボーリングのシーンや子供時代の自分とのシーン等です。
そこに関して、吉村くん演じる青年の、あくまで間接的に伝えるナレーションがあっても良かったのかな、と自分は思いました。
1つ、嫌いなシーンがあったのですが
青年と松本さん演じる女性が初めて出会った溜まり場の様な場所での事で、いかにも金持ちそうなおじさんのセリフ、目標のない奴は〜という部分です。
あの発言で現実に戻されたというか、自分は普段映画を見ている際、自分もその映像の中に居るのですが、非現実的なニュアンスのセリフを聞くと現実に引き戻されるのです。それが唯一あのシーンでした。
あの状況であの一言は出ないのではないかなと。場違いな青年に対してあのセリフは、作られたセリフ感がありました。
最後になりますが、映画終盤のシーンで2人で映画を見るシーンのBGMが個人的に凄いツボでした。
昔のフランス映画を連想させる様な、モノクロにぴったりハマっている気がして、凄い好きです。
昔のフランス映画を見たことは無いのですが、、、雰囲気です。
この映画に出会った事で、自分の価値観に幅が出来ました。ありがとうございます。
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