ショート・タームのレビュー・感想・評価
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私も複雑な家庭で育ったので、主人公や子ども達の気持ちがわかる部分も...
私も複雑な家庭で育ったので、主人公や子ども達の気持ちがわかる部分もあって心が痛みました。
自分が妊娠しても、本当に母親になれるのか、幸せになれるのか。自問自答していた頃と重なりました。
自分が辛くても、自分が経験したからこそ、他人(子ども達)のケアは一生懸命してあげたいという姿がかっこよかったです。
与え与えられる。そんな人間関係
人生における、幸せなひと時、安心する瞬間、不安になる瞬間、人のことを信じられなくなる瞬間、過去のトラウマがフラッシュバックする瞬間、我にかえって後悔する瞬間、他人の寂しさに気づいて行動できる瞬間、人のために動けても自分を満たす事ができないとき、
喜怒哀楽の全ての瞬間がたった90分に詰まった作品。
大なり小なり人はそれぞれの過去を抱えて、それを引きずって生きている。
自分を制御できなくなる時もある。
でも、自分を信じてくれる誰かとの出会いが、手を差し伸べたいと思う誰かとの出会いが、人生を少しだけ好転させる事がある。
幸せな事ばかりでは到底ない人生において、人と関わる事の大切さを教えてくれる。
社会ってこうあれたらいいな
No.1642
気が休まらない酷な仕事
いい作品だと思う
この作品は、ティーンエイジャーを預かる短期保護施設(ショート・ターム)での日常と、そこに入る子ども そして面倒を見るだけのスタッフの交流を描いている。
セラピストでもない彼らの仕事は、寄り添うだけ。
しかし、この寄り添うというのがこの物語の肝なのだろう。
ショートタームとは短期 その施設の第12号棟での物語がこの作品
そもそもなのだが、
主人公グレイスの過去と共感と手助けしたい思いが、この職に就かせたのだろう。
彼女の過去 父による性的虐待とそのことそのものが彼女をトラウマの渦へと導く。
グレイスにとっての過去と、それを現状として抱え込んだこの施設へ来たジェイデン
放っておけるはずはなかった。
そんな奴はbハットで殴り殺しても問題はない。
しかし、ジェイデンの悩みはもう少し穏やかだったのだろう。
そのバットで父の車の窓を壊すだけで十分だった。
ただ、
自分に共感してくれたグレイスの心意気に、信じてもいい人がこの世界に入るとジェイデンは感じたのだろう。
「いい母親になれるよ」
このひとことが、グレイスの心を救った。
父に妊娠させられた事実とその事を恋人の間にも持ち込んでしまうトラウマ
汚れとか汚らわしい行為と想い出と事実と過去とそれ自体が全て許せなくなってしまう。
この物語は、
現在何らかの問題を抱えてしまった子供たちに寄り添うスタッフの日常だが、寄り添うことで本音は本心が見える。
それ自身、自分が持ってしまったトラウマとの葛藤
何もかも捨てって逃げ出したくなる衝動を持った子供たち
同じような境遇にどうしても共感して何とかしてあげたくなる衝動は、人間としての正しい在り方のような気がした。
本気
本気で何とかしたいと思う気持ち
その気持ちが透けて見えるほどよくわかる子どもたち
だから、この寄り添うという概念がどれだけ必要なことなのかを物語を通して我々に教えてくれるのだろう。
作り話でも、作り話なんかじゃない。
その本気度が良く伝わってきた。
いい作品だったと思う。
メイソンがいいやつ過ぎないか?
冒頭で走り出す少年、この伏線回収好きかも
ある映画に触発されたのではないかと推察
この映画で、癒された人がどれほどいるのかと思うと、申し訳ない限りですが、私には理解できませんでした。もちろん、ハートウォーミングないいお話だとは思います。タコのニーナのおとぎ話は、それだけを短編のアニメーションにしても通用するほどに優れたエピソードで、泣きながら少女が語るシーンはこの映画の白眉と言っていいと思います。
ただ、映画全体を覆う重苦しい空気と閉塞感が、何とも言えない「閉じられた」世界を想像させ、この日常が子供たちにとっていい影響になるとは思えない環境です。
ただの一例でいいから、この施設から旅立っていった成功者のエピソードを取り上げてほしかった。もちろん事実に忠実に映画化したのなら外ならず、映画という、90分の人生体験を期待する人にとって、この映画が、観客をどこへ連れていこうとするのか、よく解らないままラストシーンを迎えました。
そういう意味で、メイソンが語る出来事、カフェで偶然会ったこの施設出身の男の子に挨拶をした話を、なぜきちんとドラマにしなかったのか疑問です。心温まるいい話を切り離すような奇声を上げ、やせっぽちの少年が白昼堂々と脱走を企てます。
少年は、キャプテンアメリカを気取り、星条旗をマントのようにまとい、奇声を発しながらタッチダウン(施設の外に脱走)を狙います。それは、まるで予定調和の鬼ごっこのようにも映り、現にもう一歩のところで、少年は向きを変え、追いかけてくる保護管に向かって突撃しようとします。その楽しそうな表情は、彼らの日常が自己実現欲求を満たすための開放を表しているのでしょう。
冒頭のシーンをかぶせて、同じシチュエーションで締めくくるテクニックが使われていますが、冒頭のシーンは、入所して一日目の同僚をリラックスさせる「すべらない話」で打ち解けようとさせる保護管を一気に緊張の極致に導き、彼らの過酷な仕事ぶりと、施設に入っている子供たちの極限状況をいっぺんに見せます。このスタートとラストの対比こそが、脚本家の一番の狙いなのだと思います。
問題児ばかり揃っている施設の中で、自らが父親による性的虐待を受けた経験のあるグレイスが、同じ境遇の少女に共感し、とんでもない行動に出る様はエキセントリックで、どこかの何かのドラマで見た気になる既視感があります。
特に「世界にひとつのプレイブック」は、この映画の直前に公開され、高い評価を得たので、何らかの影響は受けていると思われます。
2017.11.29
【”子は親を選べない。だが、親からの虐待により傷ついた心を、大切な人との繋がりにより癒す過程を描いた物語。”特に、再後半は心に沁みるヒューマンストーリーである。】
ー 親からの虐待、ネグレクトにより傷ついた心を持つ子供たちのための短期保護施設施設「ショートターム12」。
そこで働くグレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン。(ジョン・ギャラガー・Jr)
子供ができたことをきっかけにふたりの将来は幸せなものになるかと思われたが、グレイスは誰にも打ち明けられない心の闇を抱えており、メイソンに子供は産めない・・、と伝えてしまう。ー
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作には傷ついた心を持った10代の子供たちが多数出演しているが、特に印象的なのは母親に虐待された故に嫌悪するマーカス、そして父親に虐待されて入所して来たジェイデンが印象的である。
・出所が近いマーカスが母親への憎しみをラップに乗せて歌うシーンと、ラップの歌詞。
- けれど、彼はその後立派に更生した事がメイソンにより語られる。-
・ジェイデンがグレイスに語ったタコのミーナとサメの話。
- ”君の脚を一本くれよ・・。お腹が減ったからもう一本。全部くれよ・・。”
父親からの虐待を暗喩している。そして、ジェイデンが心優しき女の子である事も・・。-
・短期保護施設施設「ショートターム12」で働くグレイスも、父親からの虐待を誰にも言えずにいた。刑務所に入っていた父親が仮出所すると聞いたグレイス。
そして、恋人のメイソン(良い奴である。)の子供を身籠った時に言ってしまった言葉。
”生まない・・。”
- 親から虐待された子供の中には、自分も子供を虐待するのでは・・、という思いを持つ子がいるという・・。-
<ジェイデンが、父親に家に戻ったと聞いたグレイスが所長を怒鳴りつけ、バットを持ってジェイデンの家に自転車で駆け付けるシーン。ジェイデンは無事だったが・・。
そして、二人は夜中、ジェイデンの父親の車をバットで叩き割る。
両親による子供の虐待はコロナ禍も影響し、増えているという。
私には、自分の子供を躾と称して、虐待する人間の気持ちは全く理解出来ないのであるが、今作のラスト、グレイスが過去の忌まわしき出来事をジェイデンと共に打ち砕き、メイソンとの子を持つ決断をするシーンと、彼女のお腹にいる子供の姿を二人で喜びながら、モニターで見るシーンは沁みたなあ・・。
優しさで溢れ感情が込み上げる
Amazonプライムで配信終了間近のリストからなんとなく良さげな雰囲気で気になったので鑑賞。
うわっ!出ました掘り出し物!これは文句の言いようがない傑作だな。いや傑作とはちょっと違う。名作、ともなんか違う。
分かる人は分かると思うけど、「傑作」とも「名作」とも違う、いい映画ってありません?特に、ミニシアター系の映画とか、画面設計が綺麗なアート作品に多い。
「傑作」とかありきたりな表現は極力使いたくないんだけど頭がかたいから許して下さい。
とりあえずエモーショナルな素晴らしい作品です。(素晴らしいって表現もあんま好きじゃないんだよな…)
素晴らしい作品に出会うと当然「これ監督誰だ?」と思う訳ですよ。
調べてみたら『黒い司法』のデスティン・ダニエル・クレットン監督だと発見。『黒い司法』も心にズシンとのしかかるテーマを浮き彫りにしつつ感動的な演出が光る作品だった。
個人的にはスパイク・リー作品によくある黒人のノリが、差別とかでは無く単純に自分の感性と合わないのであまり好きでは無い。
でも『黒い司法』では黒人のノリを嫌うどころか、感動してしまった。
これは今作でも共通している、というか今作の方が色濃く出ていることなんだけど、クレットン監督は人間の撮り方が上手い。
瞳の奥にある優しさを上手く捉えていて、当時人物みんなが愛おしく感じてしまうし、心を強く揺さぶられる。
ドキュメンタリー調な作風も相まって、リアルタイムな社会派テーマをリアリティ溢れる映像で描ききる。
聞けばマーベル新作、『シャン・チー』の監督を務めるらしい。
同じくドキュメンタリー調な作風で魂を揺さぶる才能、クロエ・ジャオもマーベル新作『エターナルズ』を監督するし。
新マーベルシリーズは一体どうなるのだろうか?ハリウッド映画という立場に負けず、アート作品としてのヒーロー映画という新境地を切り開いて欲しい。
…と話が脱線しましたが文句なしの大傑作なので是非皆さん、観て下さい、というか観て!
マストで観るべき。
凄い才能の監督だ!
ラミマリックを活かしきってないのが残念
YOU ふっきっちゃいなよ。
かなり重たいテーマを扱ってるのに、見終わった気持ちはすごく爽やか。
ある種の無敵感というか、いつだって理想の自分になれるんだっていう希望というか。
最後に語られるマーカスのエピソードがすごくキラキラしてるし、
サミーが星条旗をマントにしてるのも微笑ましかった。
全体としては良くも悪くも主人公のグレイスに焦点を限定してるので、
それで見る人を選ぶ部分はあるかも。
でも過去のトラウマに囚われているひとにも、
今でっかい壁にぶち当たっているひとにも、
すごくポジティブなメッセージは伝わるんじゃないかと思う。
これまでの人生で自分がしてきた決断というか、選択してきたことというか
とにかく、なんやかんやあってもここまで生きてきた自分を褒めようぜっていう。
誰かと比べることなんて、マジで意味ないんだっていう。
同時期に見た「パターソン」を絶賛している人が多かったけど、
僕はこっちの方が断然すき。
『癒し』は『信じること』に必ずしも発展しない
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