劇場公開日 2014年9月13日

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「誰でも良かったのは」海を感じる時 トマトマ子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0誰でも良かったのは

2022年9月22日
iPhoneアプリから投稿

都合の良い時だけ弄ぶのにあとは自分を無視したり避けたりする、いわゆるクズ男の浩に愛を打ち明け続け身体を捧げ続け、高校時代からずっと執着して、家族関係も大学進学もぶち壊しにして、浩を追っかけるためだけに上京。

長い年月にわたって同じことを繰り返し、ようやく振り向いてもらって、同棲を持ちかけられる。良かったやん!ハッピーエンドやんけ!

と思いきや、ハッピーエンドが見えた途端、主人公は行きずりのサラリーマンとあっさりセックス。ええええ。

「誰でも良かった」のは本当は浩ではなく、主人公の方やったんや……
主人公も、サラリーマンとのセックスの後でそのことに気づいてしまい、浩への執着が薄くなる。そして実家に戻り、家族全員が揃っていた頃の思い出に浸る。

主人公の行動の理由が父親の不在なんだとしたら、あまりにも短絡的過ぎるから何か理由を示されるのかと思ったが、特に理由は無いまま終わってしまった。
これじゃただの自己承認欲求メンヘラヤリマンやんけ!
もしかして本人も自分の行動の理由がわからないから、あんなフワッとした終わり方だったのかな。

でも不思議なことに、自己承認欲求メンヘラヤリマンの気持ちはめちゃくちゃわかる。誰でも良いから求められたい、必要とされたい、でも自分の心まで必要とされるのはなんか違う。嫌だ。

誰かを追いかけたり股を開いたりあれこれ悩んだりしなくても無防備に愛されていて受け入れられていたあの頃。それが実家=海であり、彼女にとって本当に海を感じる時とは、あの頃のようにまた誰かに無条件に受け入れてもらえた時なんだろうな。

ケロケロケロッピ