ハーモニーのレビュー・感想・評価
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高度な技術力と難解な物語
物語はユートピアとなった世界が舞台で、理想的な世界とは高度管理化されているので実はディストピアなのです。という贅沢な悩み事を持つエリート美女が主人公という非現実ながら、トマス・モア以降、人類が不変的に追求する問題を扱っています。驚いたのはアニメーションが2D3Dなどの映像がなめらかに融合しているところで、細かいところまで追求されていると思います。美女の精神力で世界が崩壊するかも知れないという非現実的な切迫感が、繊細なアニメーションで表現されていて圧倒されました。
02.どうしてこうなった…
個人的に伊藤計劃の本が好きで「Project itoh」の3作は読んでいるのでそこをふまえてのレビューとする。
屍者の帝国と違って基本的には原作通りに進んでいたものの小さな改変で作品を全く違ったチープなものに変えてしまったのが今作である。
まず、序盤に変なモニュメントみたいなものがでてきてetmlの記述を始める。これはハーモニクス後の世界の光景だがなぜか最初に見せてしまうのだ。こんなにモロ見せでしょっぱらから出てくるとは…。しかもその後ラストまでタグの記述は一切出てこない。本作においてタグはかなり重要な意味を持っていると思うし劇中でもテキストとして要所ででてきて欲しかった。なぜタグを記述しているのかが最後のシーンで一気に解明することでなんとも言えないカタルシスが生まれるのがいいというのに。
トゥアレグ族とのやり取りも重要な所をなぜかカットしていてトゥアレグ族を通しての世界のバックグラウンドが見えなくなっている。
日本に渡ってからは改悪もなく、忠実に作っていて良かった。特に全ての人間が生府の管理下にあり、社会的リソースであるという社会の全てが均一でフラットな光景は非常に気持ち悪い印象を与えていてよく出来てに問題なく流れる。
いた。ここからラストまでは(やや説明が口説いが)特に問題なく流れる。
そして、最悪なのがクライマックスシーンであるチェチェンでのトァンとミァハの対峙するシーン。バンカーの奥で対峙するはずが地味な部屋になってしまっている。ひゅーひゅーという風の音が緊迫感を表すしミァハを撃った後にバンカーの先に行き、世界が見渡せる所でミァハの意識が終わり、トァンの意識も死ぬことで周りに広がる世界も同様に意識の終焉を迎えたことを悟るというのに…。これは演出の問題だから百歩譲って仕方がない。だが、なんだラストのあのセリフは「ミァハだけはあたしの好きだったままでいて!」ドン。おい、おい!これじゃ、意味がまるで変わってくる。未練がましいにも程がある。これはキアンと父をミァハの勝手な都合で殺されたトァンの復讐と原作にも明記されている。ミァハにとってハーモニクス完成後の世界を生きられない事こそが最大の復讐になるのだ。そもそもこの未練がましい感じは最初の銃を撃つシーンにも当てはまる。劇中では電球を撃ってガラスの破片がキラキラしていて綺麗だなとしか思わないが原作ではミァハの頬を銃弾がかすめて血を流している。これがミァハとの決別を表し、未練や後悔を無くしているはずだったのだ。なんでこんな安易な解釈になってしまったのか。撃ってからの流れも丸まる無くなりハーモニクスが本当に実現されたのかも実感が得られない。なんとも消化不良なまま終わりを迎える。非常に残念な終わり方だ。
全体的な完成度としてもスタッフの期待値が高かっただけに物足りない感じがした。
おそらく賛否両論ある本作だが私は原作の内容に大いに感動しただけあって本作の改変部分ばかり目についてがっかりしてしまった。本作を受けて虐殺器官に期待がより一層高まった。
話は面白く映像を見戻ります美しい
知的で、美しくて、綺麗な映画♪
屍者の帝国でも、魂や意識の話が出てましたが、この作品では、より意識に重きをおいた話だと感じました。意識の台座にあがったものが認識されるという話を含め、脳と意識が別であるとの表現が面白かった。
主人公も含めたメインキャラの、美しく綺麗な描写と、色彩の組み合わせ使った魅せ方がとても良かった!!きっと、みんな、ミァハに魅了されるはず。
大量出血、自○シーンはちょっと目を背けてしまうほどの表現でしたので、苦手な人もいるかも。
うむ!
原作が好きなのでちょっと評価甘いかもw
今回は割と原作準拠で良かった!
屍者の帝国が原作と違う点もあって、残念だったのだけど今回はそんなこともなく。
まぁこっちの方が原作は短いからしやすいのかも。
内容については個人的には満足なのであまりふれないのですが、やはり虐殺器官の後にやってほしかった、という思いがあります。
そこがねぇ…まぁしょうがないですけど。
ただ、映画というエンターテイメントとして見たとき、この内容、終わり方は賛否両論かも。
僕は非常に好きな終わり方なんですけどw
映像は非常に綺麗でした。
多分もう一回見るなw
カタルシスのない俺の哲学って感じ~
映画にするならエンターテイメント要素は必要だと思うんだけど
世界観を支えるメカに美術デザインや作画が一級品で
それで満足できる向きにしか薦められない
冒頭のエピソードでwatch meというものを誤魔化してゴニョゴニョできる主人公が手の内を明かさないまま
事件が起こり、捜査を始めるので、てっきりそこら辺が最後のどんでん返しの仕掛になるのかと思って見てたので尚更かな
理想郷を作るために今ある世界を壊す是非に焦点を合わせてずっと展開してたのに
最後の最後は、好きな人が思ってたような人じゃなかったという色恋沙汰が決定打になるっていう
それにしてもシステムに依存していない人とか市街地が出てくるオープンな世界で、理想郷か今の世界かという二者択一というプロットが説得力に欠けていて
その後どんな世界になったのか描かれないので腑に落ちることがない
作中で熱く語られる議論を胡散臭い目で見ない素直な年齢で
死生観とか人の尊厳とか哲学的なものを楽しめるのかなぁと思うし
円城塔の屍者の帝国が面白くて期待してただけに
面白く楽しく見せる仕掛けのない作品でガッカリした
原作読んでれば違ったのかなぁ
アニメの質は文句無い
原作をあれほどカラフルにかつ詳細にわたって具現化するのは大変だったろうと想像する。原作には、面白さはあるけれどもビジュアル的なイメージがなかなか湧いてこないと思った。そういった面でよくぞあそこまでビジュアル的な世界観を創り出したものだと感心する。
国際情勢やフィジカルとメンタルの問題も取り扱っているストーリーであるために、説明が必要だという意図からなのかかなりセリフが多かったように思う。見事に創り上げた世界観の映像を背景に、その語りが展開されるのではあるけれども、どうしてもそこに退屈なものを感じてしまう。あんなに説明が必要だったのかどうか・・・と思うのは原作を既読した者だけが言う我儘なのかー。もう分かりづらさ満載に、ビジュアルで押し切っても良かったように感じた。ベースとなるものがしっかりしていれば、まわりが自主的に情報を集めようとしてくれるものだと思うのだがー。
原作にはもっとユニセックス的なものを感じたけれど、映画の描かれ方があまりにも偏りすぎなように感じて、多少ひいてしまったところがある。性に関しても超未来的な描き方で良かったよなー、といっても具体的にどうこう言うのは難しいものではあるけども。
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